亡き母へ“今”伝えたい想い
―憧れ、導かれた両親と同じ農家になったことで―
いなくなった“おかあさん”へ届けたいメッセージを書いてみませんか?
あのときは伝えられなかったと思いと“今の自分”を伝えたい。その言葉は「亡なった人にきっと届く」と、亡くなった人を思い慕う気持ちの整える専門家である上智大学グリーフケア研究所特任所長・髙木慶子先生はいう。
今回、学生時代に亡くなってしまった母に向けて、メッセージを綴ったのは、富士山の麓で農家を営むタケルさん。母への想いと、今の自分を振りかっていただいた。
スイカ
タケル
「明日何か食べたいものある?」
「それじゃあスイカが食べたいわね。」
「わかった。明日買ってくるね。」
父親が危篤になったと聞いて、実家に帰った時に検査入院していたあなたと最後の会話。
その日の夜にあなたは急に息をひきとりましたね。
結局渡すことのできなかったスイカは一つはあなたの棺桶、もう一つは自分で食べたよ。
そして今は毎年あなたの命日に妻と二人の息子と食べてる。
農業を始めてもうすぐ十年経ちます。
「農業をやらせてください。跡を継がせてください。」と
父親に頭を下げて始まった俺の農業人生。
翌年に父親が重病になり、学生だった俺は急に一人で跡を継ぐことを
考えることができず社会人になっていた長男に跡を継いでもらったね。
一度は農業から離れた人生を送っていたけど、両親が畑で一生懸命働いている姿や自信をもって作った果物を自信をもって売っている姿を思い出し、再び農家になりたいと思いました。
昔は跡を継いで両親と一緒に農業をしていたらどんな風に農業をしていたかな。
なんて空想にふけることがあったけど。
あなたの命日に食べるスイカの弱い甘みを感じると
あなたと交わした最後の会話
その後の出来事が少しだけ思い出すことができるんだ。
だからこれからも毎年命日にあなたが食べたがっていたスイカを家族とおいしく食べていくよ。
そして思い出した記憶を家族に話していくんだ。
二人がとても素敵なじぃじとばぁばだったかということを。
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KKベストセラーズでは、亡くなった母へ向けて書かれた手紙をまとめた書籍『亡き母への手紙』の刊行を契機に、本稿を読んでいただいた方々にも、亡くなった“お母さん”への想いを綴ったメッセージを募集したいと思っております。
【応募してくださった方の中で上記にように取材および掲載をお願いさせていただく場合がございます】
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「母の日参り」パートナーシップ
戦後70余年にわたり、我が国の家庭文化に深く根を下ろした「母の日」。近年、GWから母の日(5月の第2日曜日)にかけてお墓参りを行い、亡き母を偲ぶとともに家族の絆を確認することが、中高年を中心に広がっています。「母の日参りパートナーシップ」は、「母の日」が実は「亡き母を偲ぶ一人の女性の呼びかけで始まった」という由来を知り、長寿社会 の今後にも色褪せることなく、人々の心に豊かさをもたらす記念日であるようにと、ソーシャル・キャンペーンを展開している13企業が集結した団体です。
『亡き母への手紙』
追慕・悲嘆・後悔・郷愁…と様々な想いで綴られた“亡き母への手紙” 珠玉の50作品とともに、第2回コンクールの選考委員長を務められた俳優の草刈正雄さんやグリーフケア専門家の髙木慶子先生のインタビューも交え、
亡き母との絆を“前向きに生きる力”へと転換するヒントが凝縮された一冊。