元ひきこもりだからわかる「君」の生きづらさ<br />―今ひきこもりの君へおくる踏み出す勇気 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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元ひきこもりだからわかる「君」の生きづらさ
―今ひきこもりの君へおくる踏み出す勇気

幼いころから自閉症、アスペルガーとして悩み「ひきこもり」を経験した発達障害カウンセラー・吉濱ツトムさんが自らの体験を語る。

元ひきこもりで、自らのアスペルガーを克服し、立ち直った発達障害カウンセラー・吉濱ツトムさんは、2000人以上ものひきこもり者を治療してきた。ここでは、自らが経験した「生きづらさ」を語る。(吉濱ツトム著『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』より)

 

■アルバイトでクビ9回─心が折れた

 いずれひきこもりとなっていく僕ですが、もともと働く気はあったのです。いえ、むしろ働きたくて、社会と関わりたくて仕方がなかったのです。

 僕はアルバイトで9種類の仕事を経験しました。そしてそのすべてが「クビ」でした。しかも、速攻でクビ(笑)。ケアレスミスは日常茶飯事ですが、その程度がフツーではありませんでした。

 クビになった理由を挙げてみます。

「それは当然でしょう!」というものばかりです。

● コンビニのバイトでは、100個仕入れるはずの商品を〝なぜか〟2000個も発注してしまう。しかも毎回です。

● ドラッグストアでは、商品を陳列する仕事でしたが、ただ陳列するだけのことができない。

● 清掃業務では、「掃除をする前よりも汚い」と言われる。

● 道路工事の現場では、通行車の誘導がうまくできず、あやうく事故を起こしそうになる。

● 牛丼店では、作業の優先順位をゆっくりと確認しながらやるのですが、僕の場合はスピードが異様に遅く、使い物にならず。

● コンサートの警備員をした時は、警備を忘れていつの間にかステージに見入ってしまう。

 当然ですが、それですべて即クビです。みなさん、どう思われますか。決してわざとではないし、やる気はあるのです。ただ、それができない。

 どうして僕はフツーのことができないのか―。

 僕の心は完全に折れてしまいました。

 なぜクビになってしまうのか、僕のどこに原因があったのかを気づくことができれば、策として「自分のトリセツ」を作り、必要以上に傷つくことはなく、以後、7年間も「ひきこもり」にならずに済んだのではないかと思うのです。

 やみくもに辛い経験など重ねずに、「自分にふさわしい仕事=居場所」を見極めていればよかったのです。

 そんな僕がいずれどうなっていったのか。僕は自信がないクセに、自信のない自分を認めると余計に辛くなるので「世の中が悪い」と現実逃避をするようになっていきました。

 反資本主義的な思想を自分に都合がいいように借りて、「人間の能力をカネで評価する資本主義をぶっつぶせ」、「働くことこそが諸悪の根源」などともっともらしい大義名分を立てていました。実にタチの悪い自己防衛です。

 でもそうすることでしか自分を保てなかったのです。

 この最悪の思考は、後に僕がひきこもりとなった時にエスカレートしていくことになります。

吉濱ツトムさん。

KEYWORDS:

『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』
著者:吉濱 ツトム

 

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年齢は関係ありません。
「ひきこもり」の改善はいつからでも間に合います。
今日からすぐにできるのです。

2018年内閣府の調査で40歳から64歳までの「ひきこもり」が、61万3000人。もしも彼らを支える親たちが「無職」になったら…。今、世間で不安視されているのが、「7040(ななまるよんまる)」問題。定年退職した70代の親が40代無職の我が子の世話をし、共倒れするリスクのことである。今や、その流れは「8050(はちまるごーまる)」問題にまでスライドされた。

では、どうすればいいのか? 

著者の吉濱ツトム氏は、元ひきこもりで、自らのアスペルガーを克服し立ち直った発達障害カウンセラー。2000人を超える個人セッションを行った氏は、こう語る。
そもそも、なぜ「ひきこもり」となってしまったのでしょうか。
自分がダメ人間だから?  甘えているから? はたまた親のしつけが悪かったから?
いいえ、違います。その考えはいったん捨ててください。ひきこもりの多くは「発達障害」と関係しています。

ひきこもり者を治療するという発想を捨て、今の「生きづらさ」を回避し、自らの「長所」でカバーする。本書は、ひきこもりで苦しむ本人とご家族のみなさんといっしょに社会への小さな第一歩を確実に踏み出せる方法を考えわかりやすく解説します。

さあ、今すぐにはじめていきましょう。

 

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よしはま つとむ

発達障害カウンセラー

発達障害カウンセラー。幼い頃より自閉症、アスベルガーとして悩み、長期間にわたる「ひきこもり」を経験。悲惨な青春時代を歩むが、自ら発達障害の知識の習得に取り組み、あらゆる改善法を研究し、実践した結果、数年で典型的な症状が半減。26 歳で社会復帰。以後、自らの体験をもとに知識と方法を体系化し、カウンセラーとなる。同じ症状に悩み人たちが口コミで相談に訪れるようになり、相談者数は 2000 人を超える。現在、個人セッションのほか、教育、医療、企業、NPO、公的機関からの相談を受けている。著書に『アスベルガーとして楽しく生きる』(星雲舎)、『隠れアスベルガーという才能』(KK ベストセラーズ)、『発達障害に人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本』(実務教育出版)がある。

 

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今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気
  • 吉濱ツトム
  • 2019.08.02