ひきこもりからの脱出「5つの作戦」
―今ひきこもりの君へおくる踏み出す勇気
幼いころから自閉症、アスペルガーとして悩み「ひきこもり」を経験した発達障害カウンセラー・吉濱ツトムさんが自らの体験を語る。
ひきこもりからの脱出「5つの作戦」
作戦に入る前に、僕には設定している「やらないルール」があることを来談者にお伝えしています。それは、
個人セッションする上で、来談者の「内面(心)」は見ない。
精神分析医のような「心の診断」をしない。
「心を見ない」というと誤解されそうですが、人格を無視するという意味ではなく、適性を見ていくこと、就労に導くことに重きを置いているという意味です。心が行動を決めるのではなく、行動や環境が心を変えていくという行動療法に基づく手法です。
セッションの目的は、生きづらさの元凶となる発達障害を認知してもらい、社会復帰できる体力づくりの支援、適性を見ながら就労支援をすること。
ですから、僕はそのための環境変化のプログラムを提案します。即効性重視です。
まず、ひきこもりの原因が発達障害にあるのかどうかを見極めていきます。
発達障害ならば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)なのか、ASD(自閉症スペクトラム障害、特にアスペルガー症候群)なのか、LD(学習障害)も含まれているのか。また、アスペルガーならば、真性かグレーゾーンなのか、などの障害の種類や脳の特性を判断しながらセッションを開始します。
もちろん、セッション前には医療機関で発達障害の診断テストや身体の状態を調べてもらいます(僕は医師ではありませんから「診断」をしてはいけないのです)。
あまりにも症状が重い場合は、ご家族やご兄弟などのサポートを要請します。
作戦を実行し、課題を遂行してもらうためには、周囲からの「環境圧力」がなければ効果が得られないことが多々あるからです。
僕のセッションでは、基本的に以下の「5つの作戦」を行ってもらいます。
①代謝に基づいた健康法(糖質制限・栄養療法・有酸素運動)
②環境を変えて行動をうながす(環境圧力)
③行動が変われば心が変わる(行動療法)
④ものごとを中立に受け止める(認知療法)
⑤才能を発揮するための習慣化(ルール化)
実はこの5つの作戦とは、僕がひきこもりから脱け出すことに成功したという「5つの改善法」のことです。
ひきこもりの苦しさを経験し、そこからなんとか脱出したいともがき、試行錯誤した結果、見出したのがこの5つの改善法です。です。
おかげで僕は、自分の特性「発達障害」との付き合い方もわかりました。
そして26歳で社会復帰を果たしました。
僕は苦しみから解放され、ひきこもりから脱出し、人生を取り戻したのです。
こうしたことから、僕はそれ以後、たまたま同じ悩みで苦しんでいる人に出会った時に、「僕はこれで脱出した。だから試してみよう」と5つの改善方法を伝えてきました。
もちろん当時、僕はこれが仕事につながっていくなどとはまったく考えていませんでした。単純に自分にとって効果があったから勧めてみただけなのです。
でも、それがさまざまな人に効果があったようで、評判が口コミで広がり、いつしか僕の生業となり、現在に至っているというわけです。
個性はさまざま、適性の見つけ方もさまざまですが、この「5つの作戦=トレーニング法」はどの方にもあてはまり、効果が得られます。
「身体の改善」、「行動の改善」が心の安定を生み、安定した心がまた、身体と行動へと好循環をもたらすという流れを、身をもって体験してもらうのが狙いです。
ぜひ、実践していただきたく思います。
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KEYWORDS:
『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』
著者:吉濱 ツトム
年齢は関係ありません。
「ひきこもり」の改善はいつからでも間に合います。
今日からすぐにできるのです。
2018年内閣府の調査で40歳から64歳までの「ひきこもり」が、61万3000人。もしも彼らを支える親たちが「無職」になったら…。今、世間で不安視されているのが、「7040(ななまるよんまる)」問題。定年退職した70代の親が40代無職の我が子の世話をし、共倒れするリスクのことである。今や、その流れは「8050(はちまるごーまる)」問題にまでスライドされた。
では、どうすればいいのか?
著者の吉濱ツトム氏は、元ひきこもりで、自らのアスペルガーを克服し立ち直った発達障害カウンセラー。2000人を超える個人セッションを行った氏は、こう語る。
そもそも、なぜ「ひきこもり」となってしまったのでしょうか。
自分がダメ人間だから? 甘えているから? はたまた親のしつけが悪かったから?
いいえ、違います。その考えはいったん捨ててください。ひきこもりの多くは「発達障害」と関係しています。
ひきこもり者を治療するという発想を捨て、今の「生きづらさ」を回避し、自らの「長所」でカバーする。本書は、ひきこもりで苦しむ本人とご家族のみなさんといっしょに社会への小さな第一歩を確実に踏み出せる方法を考えわかりやすく解説します。
さあ、今すぐにはじめていきましょう。