上原浩治に聞く Q.23 もし高校野球監督・上原浩治が実現したら伝えたいこととは?
日本の指導には「押さえつけ」が多い――上原投手が考える、教え方とは?
「押さえつけ」の指導が多い日本
――前回、アマチュア指導者というお話が出ました。もし高校野球監督・上原浩治が実現したらなにを伝えたいですか? 伝えたいことがいろいろとストックされてきたのでしょうか。
いやいや、教えたいというか、僕の考えや思っていることでよければ、それを教えて欲しいという人がいれば何でも教えますよ。
――そこに何かしら問題意識があるのでしょうか。
前にも少し話したと思いますけど、日本は「押さえつけ」というもの多いんじゃないかなと思うんですね。「ああしなさい」「こうしなさい」というようなものです。
でも、それが正解かどうかって分からないじゃないですか。そういう意味でその「押さえつけ」は正解ではない。そもそも野球の指導には正解がないですから。
実際、野球指導者には資格もないですよね。
――それは技術面に関してもそうでしょうか?
はい。投げ方だって10人いれば10人違います。
これは野球だけではない気もします。スポーツを教える人というのは正解がないと思う。数学や歴史みたいなものを教えるのとはまったく違いますから。数学や歴史っていうのは、マルをもらえる正解があるわけですよね。
――それが、いまの指導で言うとあたかも正解、マルがあるかのように……
いまはね。そういう「押さえつけ」があるんじゃないかなと思います。そういう指導ではない、10人いれば10人教え方がある、というような指導をしてみたいな、とは思います。もちろん難しいのかもしれませんけどね。
――「押さえつけ」はプロの世界でも同じなのでしょうか?
プロ、どうなんでしょうね……振り返ってみればプロでも多少あるかもしれないですね。
――例えば、メジャーと比較したときそういう「教え方」の差は感じますか?
メジャーははっきり言って自分から聞きにいかない限りなにも教えてくれません。コーチ主導で教えにいくということはほとんどないと思いますよ。
――そうなんですか。それについては次回詳しくお聞きしたいと思うのですが、では上原さんに若手選手が聞いてくるということは?
投げ方とかを聞いてくる選手いますよ。僕だったらスプリットの投げ方を教えてくれ、とかも聞いてきます。去年のシーズンでいえばトミー・レイン。左のワンポイントピッチャーですけど彼はスプリットの投げ方を積極に聞いてきていて、ずっとものすごく練習していますね。
――スプリットをですか。アメリカは怪我につながりやすい、ということでスプリット、フォークを禁止するチームも多いと聞きます。そういう風潮もあるようですし。
確かにそうですね。でも今は増えていますし、投げている投手もおおくなりましたね。それは日本人の活躍も大きいと思います。やっぱりこれだけ日本人投手が増えてきて、結果も出している。そうなると日本に対するリスペクトみたいなものは感じます。
トレーナーにしてもそうですよね。日本人の方がかなりの数いますから。やっぱり日本人はまじめで働きますから、それはとても好かれますよね。
明日の第二十四回の質問は「Q.24 日米で感じる「教え方」の違いとは?」です!