「私のせいで、ごめんなさい!」難病の子を産んだ若き母が優しさに包まれて「奇跡」は起こった!!
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(3)
◆◆ごめんなさい! 私のせいで・・・
長男である夫(ピエロの父)の子、孫(陽くん)を楽しみにしてくれていた、お義父さん、お義母さん。 実家に遊びに行くと、私(ピエロの母)の身体を常に気遣ってくれて、 「きれいな目の子が産まれるように【註】」と、アワビも食べさせてくれた(【註】東海地方に残る風習)。
本当に楽しみにしてくれているのが、とてもよく伝わっていた。だからこそ会わせる顔がなかった。どんな顔をして会えば良いのか、わからなかった。
ごめんなさい。
私のせいで、ごめんなさい。
出産後すぐの陽の姿をみて、お義母さんたちのことを想うと、辛かった。
ひたすら自分を責めた。
お義母さんたちが陽に面会できる日は、まだまだ先になるだろう。最悪の場合もある。
あぁ、ほんとなら今頃、皆で陽を囲み、「夫に似てるかな」「私かな」と、盛り上がって話していたのかな。 明るく眩しい未来を想像して、お喋りに花を咲かせていたのかな。私がすべて壊した。
陽、ごめんね。みんな、ごめんなさい。
そんな考えしかできなかった。
◆◆陽くんが運んでくれた奇跡
ところが夫とお義母さんの電話でのやりとりに私は涙が止まらなかった。
私の心配をしてくれ、「同じ母親として辛さが分かるから」と話してくれていた。そして、お義姉さんも、陽はもちろん、私のことまで想い、涙を流してくれていた。誰一人として、私を責める人はいなかった。
唯一、私を責めていたのは、私自身だった。
私は家族に恵まれていた。夫のもとに嫁ぐことが出来て、本当に良かった。お義父さん、お義母さん、ありがとう。こんな私を嫁として迎えてくれて、ありがとう。
今だから思うことができる。陽のおかげで、大切なことに気づくことができた。これからもすずっとずっと、大切にしていかなければならないことを、陽はいつも教えてくれる。陽、ありがとう。
いつしか「陽、ごめんね」よりも 「陽、ありがとう。みんな、ありがとう」と想うことの方が多くなってきていた。
これも、陽が運んでくれた奇跡だね。
(『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』より構成)
KEYWORDS:
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。