【いよいよ明日!】かつて17万人が酔いしれた有馬記念がまもなくやってくる!
きっと競馬場に行きたくなる競馬の小噺(ばなし)①
■平成の怪物が見せたラストランの奇跡
2019年も残すところあとわずか。今や年末の国民的イベントのひとつにも挙げられるのが「有馬記念」。ファンによる人気投票馬が出走するこのレースはこれまでも数々のドラマを生み出してきた。その中から今でも語り継がれる伝説的な1990年の有馬記念を振り返ってみたい。
1990(平成2)年12月23日、中山競馬場に「オグリコール」が響きわたりました。詰めかけた入場人員は17万7779人。約18万人がどよめいた瞬間です。
競馬ファンにとってまだ記憶に新しい国民的アイドルホースであった、オグリキャップがラストランで奇跡の復活劇を成し遂げた第35回有馬記念、勝ったオグリキャップが鞍上の武豊騎手を背に、4コーナーからウイニングランでスタンド前に戻ってきたときに起きた現象です。オグリキャップは笠松競馬という地方競馬出身の馬でした。1987(昭和62)年デビュー。12戦10勝の好成績(中央移籍直前は8連勝)をひっさげて、中央競馬に挑戦。1988(昭和63)年、中央競馬に移籍後はいきなり重賞のペガサスSを勝利。その後も毎日杯、京都4歳特別、ニュージーランドトロフィー4歳ステークス、高松宮杯、毎日王冠といった重賞レースを6連続優勝。続く天皇賞2着、ジャパンカップ3着と敗れたものの、年末の有馬記念では、天皇賞・秋で負けたタマモクロスを退け見事1着。国民的なアイドルホースの座を射止めたのです。
この頃は、オグリキャップの登場により、日に日にファンが増えていったものです。オグリキャップが出走する日の競馬場には、この馬をひと目見ようと、女性ファンを含む多くの人たちが詰めかけたものでした。今では競走馬のぬいぐるみは珍しいものではありませんが、オグリキャップが最初のぬいぐるみだったのです。
翌1989(平成元)年、オグリブームはさらに大きなものとなり、JRA特別賞を受賞しました。その年のレースで特に印象深かったのが第9回ジャパンカップです。ニュージーランドの名牝、ホーリックスとの直線の叩き合いの末、結果はクビ差2着で敗れたものの、勝ちタイムは2分22秒2と、当時の世界レコードタイムですから驚きです。
■悲しいかな、終焉が徐々に近づいてきてしまった
しかし1990(平成2)年の秋になると天皇賞・秋で初めて着順掲示板に載らない6着、続くジャパンカップではなんと11着と敗れ、多くの競馬ファンは「もうオグリの負ける姿は見たくない」「もう一度復活してほしい」「いますぐ引退したほうがいいのでは」などと様々な声が出たものでした。そして関係者が検討した結果、暮れの有馬記念をラストランにしようと出走してきたのです。しかも鞍上にはその年、唯一の勝利となっていた安田記念で手綱をとった武豊騎手に命運を託したのです。
ラストランのオグリキャップは見違えたように生き生きと走り抜け、それはまるで自分の最後のレースであると知っているかのようなレースぶりであった
のを今でも記憶しています。オグリキャップのラストランの勝利、その瞬間は多くの競馬ファンが身震いしたに違いありません。中山競馬場の観客動員数、
17万7779人は今でも破られていない数字なのです。オグリキャップはその年の年度代表馬にも輝いています。
時は戻って今年の有馬記念。現時点ではファン投票1位で現役最強馬との呼び名の高いアーモンドアイが参戦表明。さらにはオグリキャップと同様、このレースを最後に引退が予定されているリスグラシュー(19年宝塚記念)、レイデオロ(18年天皇賞・秋)、シュヴァルグラン(17年ジャパンカップ)、アエロリット(17年NHKマイルC)の他、今年のジャパンカップを制したスワーヴリチャードなど多くのGⅠ馬が出走を予定しており、豪華なメンバー構成となりそうだ。12月22日(日)中山競馬場、はたして今年はどんなドラマが生まれるのだろうか。
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