イチローが「常に心掛けていること」
嫌いな作業でもニーズがある限りやり遂げなくてはならない
年間262安打の大リーグ新記録、10年連続200安打達成…。イチローの偉大なキャリアは、日々、自分なりの「最善」を尽くすという強い信念で支えられていた。数々の言葉から、人生を切り開くヒントを読み解く。(児玉光雄 著『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』より)
■「嫌いなことをやれと言われてやれる能力は、後でかならず生きてきます」
(自分が普段から心掛けていることについて語った言葉)
仕事を単純に「好き」か「嫌い」で分類してはならない。趣味ならそれでもいい。しかし、こと仕事に限っては、「必要か」か「必要でないか」の判断で決めるべき。仕事では、嫌いでもやらなければならない作業もあれば、好きでもやってはならない作業もある。
仕事はニーズでつながっている。だから、ニーズのない仕事など、とっくの昔に消滅しているはず。好き嫌いの如何にかかわらず、その作業にニーズがある限り、嫌いな作業でもやり遂げなければならない。
現役時代のイチローにしても、「バットを振る」という作業自体を取り上げたら、あまり面白いとは言えなかったはず。ヒットを1本でも多く打つということに、バットを振る作業の意味を見出していたから、彼はこの面白くない単純作業にのめり込むことができた。
もちろん、「イチローの芸術的なヒットを1本でも多く目の前で見たい」というボールパークに足繁く通うファンのニーズがあったから、彼は「バットを振る」という単純作業を進化させることにのめり込めたのだ。
目の前の作業の意味をしっかり把握して、その仕事にお金を支払ってくれる人の顔をイメージしながら、その人を満足させる価値に仕上げることにやり甲斐を見出そう。それが面白くない仕事を面白くする原動力となる。
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児玉 光雄
他人との比較ではなく、常に自分が定めた目標を基準として、偉大な記録を残してきたイチロー選手。「完璧主義」ではなく、あくまで自己ベストに徹底したその「最善主義」を、引退までの100の言葉から紐解く。巻末付録として、2019年3月21日に行われた引退会見全文も収録。スポーツ心理学のエキスパートである著者による、イチロー本の決定版。