最近隆盛の毒親漫画に見られる性的虐待。<br />家庭や家族に油断してはいけない理由 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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最近隆盛の毒親漫画に見られる性的虐待。
家庭や家族に油断してはいけない理由

性的虐待や近親相姦は旧約聖書の時代から現代にいたるまで起きている

◆家庭や家族は聖域ではなく危険な密室にもなる

 家庭という密室の中で、家族という閉じられた人間関係の中で、非力無力な子どもは危険にさらされがちである。こうした空間の中では、大人はまっとうな社会性や良識を失いがちになる。

 このことは、よくよく、子どもも大人も意識しておいたほうがいい。はっきり言えば、「子どもたちよ、親相手でも油断するな」と私は言いたい。大人には、「家庭は何をやっても許される場所ではないし、家族に対して甘ったれるな」と私は言いたい。

 家庭の中では、家族の前でくらいは、気楽に好き勝手にふるまいたい? 凡人のあなたは、そこまで非常に重要な仕事などしていない。単なる賃金労働者がえらそうなこと言ってはいけない。

 

◆1990年代から可視化された毒親問題

 子ども虐待の問題が日本のメディアに初めて浮上してきたのは1990年代だった。子ども時代に機能不全家庭で育ち、親との関係で何らかのトラウマ(心的外傷)を負い、その後遺症に成人後まで苦しむ子どもを、「アダルトチルドレン」と呼ぶようになった。

 内田春菊の自伝小説『ファザーファッカー』(文藝春秋、1993)は、「アダルトチルドレン文学」としてベストセラーになった。内田の母親は、娘が夫(内田にとっては養父)から性的虐待を受けていることを見て見ぬふりをした。母親は自分の経済的安定を娘より優先させた。

 1997年にはCreate Media(今一生氏の編集者として活動する際の名称)編の『日本一醜い親への手紙』(メディアワークス、1997)が出版された。アダルトチルドレンからの親への絶縁状100通は痛切だった。

 2000年には「児童虐待の防止等に関する法律」が制定された。2007年に、この法律は改正されている。

 毒親に関する書籍は2010年代に、さらに多く出版された。スーザン フォワードの『毒親の棄て方: 娘のための自信回復マニュアル』 (羽田詩津子訳、2015)や、子ども虐待サバイバー100人の手紙を収録した『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば? 』(Create Media編, 信田さよ子&東小雪著、 2017)は、はっきりと毒親を捨てろと訴えた。

 

◆最近隆盛の毒親漫画でも目を背ける性的虐待

 最近、特に目につくのは、「毒親漫画」の隆盛だ。母親が毒親の事例だと、高嶋あがさの『母は汚屋敷住人』(実業之日本社、2015)や『母を片付けたい』(竹書房、2017)や、田房永子の『母がしんどい』(KADOKAWA、2017)がある。

 父親が毒親の事例だと、菊池真理子の『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店、2017)がある。あらいぴろよの『虐待父がようやく死んだ』(竹書房、2019)だと、外面はいい父親が性的虐待をし、母親はそれを見て見ぬふりをする。

 菊池真理子の『毒親サバイバル』(KADOKAWA、2018)は、11人の毒親サバイバーの聞き取り漫画だ。

 毒親というのは、自分の歪みや鬱屈やコンプレックスを自覚分析できずに、それらの否定的感情を無力非力な子どもにぶつけ、子どもを支配下に置く。そうすることによって、子どもの正常な認知機能を潰し、生涯にわたって子どもの人生を食い物にする親のことだ。心は傷ついた子どものままに子どもを作ってしまった人々だ。

 しかし、子ども虐待の例で最も深刻悲惨な事例は、養育者による性的虐待だろう。義理の父親が義理の娘に対して性的虐待をする事例もあるし、実の父親が娘を強姦する例もある。

 最近隆盛の「毒親漫画」でも、さすがに実の親による性的虐待や強姦の事例を描くものは、私が知る限りはない。漫画表現といえども、直視するにはあまりにおぞましいからだろう。

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馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。
著者/藤森かよこ

 

死ぬ瞬間に、あなたが自分の人生を
肯定できるかどうかが問題だ!

学校では絶対に教えてくれなかった!
元祖リバータリアンである
アイン・ランド研究の第一人者が放つ
本音の「女のサバイバル術」

ジェーン・スーさんが警告コメント!!

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これは警告文です。本作はハイコンテクストで、読み手には相当のリテラシーが求められます。自信のない方は、ここで回れ右を。「馬鹿」は197回、「ブス」は154回、「貧乏」は129回出てきます。打たれ弱い人も回れ右。書かれているのは絶対の真実ではなく、著者の信条です。区別がつかない人も回れ右。世界がどう見えたら頑張れるかを、藤森さんがとことん考えた末の、愛にあふれたサバイバル術。自己憐憫に唾棄したい人向け。  
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あなたは「彼ら」に関係なく幸福でいることだ。権力も地位もカネも何もないのに、幸福でいるってことだ。平気で堂々と、幸福でいるってことだ。世界を、人々を、社会を、「彼ら」を無駄に無意味に恐れず、憎まず、そんなのどーでもいいと思うような晴れ晴れとした人生を生きることだ。「彼ら」が繰り出す現象を眺めつつ、その現象の奥にある真実について考えつつ、その現象に浸食されない自分を創り生き切ることだ。
中年になったあなたは、それぐらいの責任感を社会に持とう。もう、大人なんだから。 社会があれしてくれない、これしてくれない、他人が自分の都合よく動かないとギャア ギャア騒ぐのは、いくら馬鹿なあなたでも三七歳までだ。(本文中より抜粋)

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課 程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。  

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  • 藤森 かよこ
  • 2019.11.27