槇原敬之逮捕で考える<クスリ事件言い訳集>―長渕は不倫込み、ASKA、尾崎は?
逮捕の言い訳は再スタートを切るための最初の自己表現!?
まずは、長渕剛だ。この人が逮捕されたときには、不倫交際中だった国生さゆりまで尿検査を受けさせられた。背徳がふたつ重なったうえ、ああいうキャラなので、なかなか大げさなことを言っている。
「まだまだ、愚劣な私ではありますが、どうかあと10年『死』という安らぎへの原点回帰までのチャンスを下さい」
10年後に死ぬ覚悟でもしていたのか、よくわからないものの、とりあえず、この人ならではの気合は感じられる。
一方、お気楽なのが井上陽水。自分の事件が報道されているのを見ても、
「あんまり自分だっていう感じはしないんですよ。『ああ、陽水さん、かわいそうに』ってなもんで(笑)」
と言うほどなので、罪悪感などはほとんど伝わってこない。事件後初となったアルバムに「"white"」というタイトルをつけ「まあシロというわけじゃないですけどね、クロなんだから(笑)」とギャグにもしていた。
彼によれば「マリファナというのも一種の災害」にすぎず、マイナーな災害なので国家も守ってくれなかったとのことだ。
これと似ているのが、ASKAである。クスリを始めたきっかけについて、英国に行った際、現地スタッフに「いらない?」と奨められたとして、
「僕は今『出会ってしまった人』という言い方をしていますが『それ』が『それ』だっていうのは知らなかった。別のものだと理解していたので。『それ』だって聞いたときには、どこかで観念したところもあるんじゃないかな……」
と、他人事みたいに振り返った。また「やめられる人とやめられない人の差」を聞かれ、こんな分析を披露。
「僕は『川を越えちゃった人』という言い方をしています。境界線があって、やらない側にいる人には何もわからない。何かの弾みで向こうに行っちゃった人は、その人だけが知る世界があって、いつでも戻ってこれると思っている。だけど、戻ってこさせてくれない空気が世の中にあり、自分はいつでもやめられるという気持ちがどこかにある、そういった状態が続くんです」
この「戻ってこさせてくれない空気」というのはなかなか意味シンだ。いろいろと深読みできそうである。
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『痩せ姫 生きづらさの果てに』
エフ=宝泉薫 (著)
女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは?
人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶
————中野信子(脳科学者・医学博士)推薦
瘦せることがすべて、そんな生き方もあっていい。居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。
健康至上主義的現代の奇書にして、食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。
摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。食事を制限したり、排出したりして、どんどん瘦せていく、あるいは、瘦せすぎで居続けようとする場合はもとより、たとえ瘦せていなくても、嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。しかし、こんな見方もできます。
瘦せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。今すぐにでも死んでしまいたいほど、つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために「瘦せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。
(「まえがき」より)