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人を動かすことは「意味」ではなく「意識」を伝えること

社長になれる人、なれない人(5)

 

 「意味」と「意識」の両方を伝える

「人を動かす」とは、社員に「この社長の言うことだから思いっきりやってみよう」と思ってもらえるかどうか、ということです。「社長が言っているから、適当にやっている振りだけでもしとくか」と思われているのとでは、パフォーマンスも全然違うはずです。

 人を動かすには、トップ自身の考え方を伝えられるかにかかっています。コミュニケーションとは、「意味」と「意識」の両方を伝えるということ。社長が「○○の売上げを達成しよう」と言う時、社員はそれを意味として受け取るわけです。しかし、社員にも社長への好き嫌いがあるので、好きな社長の言葉なら、「社長のために絶対頑張ろう」という意識として社員に伝わってきます。この「意識の部分」が伝えられるかが大事。

 意味を伝える能力と意識を伝える能力は違います。前者は頭のいい人にとっては難しくありませんが、後者は能力だけでは無理。やはり、そこには公私混同しないような人柄というものも大きく関係しています。意識は教えるものではなく伝えるものですが、その意識が伝わるかどうかは、言っている本人が信念を持ってそのことを言っているかにかかっ
ているのです。

 さらに言えば、「○○の売上げを達成しよう」ということは「目標」ですが、会社の存在意義や仕事の意味などの「目的」をきちんと普段から伝えていないと、「売上げ達成」ということに対しても、部下は本気が出せません。

 

 

 

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小宮 一慶

こみや かずよし

小宮コンサルタンツ

代表

経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表。1957 年大阪府生まれ。81 年に京都大学法学部卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ 銀行)入行。在職中の84 年から2 年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学、MBA 取得。91 年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。94 年からは、日本福祉サービス(現・セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96 年に小宮コンサルタンツを設立、現在に至る。2014 年名古屋大学客員教授に就任。年100 回以上の講演を行う一方、著書は100 冊以上、累計発行部数は300 万部を超える。著書に『「ROE って何?」という人のための経営指標の教科書』(PHP)、『ビジネスマンのための「発想力」養成講座』(ディスカヴァー)など。


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