「自分の世界を広げてくれる本との出逢い方」と「村上春樹さんを初めて読んだ時の衝撃」【角田陽一郎×加藤昌治】
あんちょこ通信 第5回
■村上春樹さんを初めて読んだ時の衝撃・・・
加藤:ワタクシ図書館が好きなんですけど、図書館の司書さんはそういうことをレコメンドするのがお仕事なので、虚心坦懐に聞いてみるのも面白いかも。お金もかからないしね。
角田:加藤君は、司書さんみたいな人と仲良くなるのが昔から好きだよね。僕なんかは「自分で探します」と言っちゃうタイプだけど、確かに司書さんとかと仲良くなるのはいいよね。
加藤:相手が「薦めてほしい」と求めているものをそのまま渡すのはあまり面白くないとするなら、話の流れが分かった上で、ちょっと外して「じゃあ、これどうですか」みたいに薦めてくれると嬉しいよね。
そういう、自分では気づけない選択肢を発見してくれる人は、本だったら司書さんやベテランの書店員の方だったり、本好きの友達であるとか、いろいろな人に訊けると思うんです。(『仕事人生あんちょこ辞典』の「レコメンド」の項も参照)
角田:高校時代の僕にとって、「本好きの友達」とはまさに加藤君だったわけだけど、「この人、面白いなあ」と思ったのは、出会った当時に村上春樹を薦められたんです。で、その時に一緒に薦められたのが、漫画の『超人ロック』だったんですよ。
加藤:名作ですね。
角田:「村上春樹と『超人ロック』を同時に薦めるヤツ」というところにしびれたんだよね。
加藤:村上春樹さんに関して云うと、初めて読んだのは中2の時で、塾の国語のテストに出てきたんですよ。その時、文章に感激しちゃって、途中で手が止まってさ。そこからはテストに答えられなくなった……という出会い方をしたわけです。
角田:僕も同じ体験をしたことがある。遠藤周作の『海と毒薬』が問題文で出て、問題を解くよりもその先が気になっちゃった。
加藤:ああいうのって、テストとしてどうなんだろう(苦笑)。
角田:「受験生が答えたくなくなる試験」だったってことだけど、それもやっぱり文学の力だよね。
(構成:甲斐荘秀生)
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