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Scene.7 さらなるステージへ。

高円寺文庫センター物語⑦

THE KINKS イェイ♪

THE KINKS 日本公演パンフ

ボクはリアルタイムに聴いていたけど、若いバイトくんたちはタイムラグがあっても好きっていうのは嬉しいぜ!

1993年10月6日、五反田の郵便貯金ホールにみんなで来たのさ!

レイ・デイビスの鼻声がたまらない。

ボクが慢性副鼻炎で、蓄膿っぽい声がいい感じに響くしさぁ~刻んでくるギターは飛び跳ねるエクスペリエンス♪

あれ! 会場に、本店のバイト黒木くんがいるなんて!

「わお! キンクスが好きだったんか~文庫センター御一行様、THE KINKS ツアー帰るか」

みんなをクルマに乗せて郵貯を出ようとしたら、出待ちのファンがキャー! キャー!って、ボクらのクルマをTHE KINKSと勘違い。

買ったTシャツ!

スターって、こんな感じの景色を&レイ・デイビスは見るのかぁ~っと、地下通路を出て左折したら・・・・・・

横一直線に居並ぶナチス・ドイツの機甲師団! な感じの、車列が見えた!

なんて、思う間もなく「店長! 逆走、逆走! 右! 右!」あはは、物凄い一体感って、違うよな・・・・左折禁止の大慌てだった!

「ごめんごめん。ライブ会場から撤収する、ミュージシャの気分を味わえただろ」やぶへびブーイング、ブーブーブー!

 

アタマの中には、THE BANDの「Stage Fright」が流れる。

Scene.7 さらなるステージへ。

 

「殿。りえちゃんが、おいでおいでしているわよ」

「ったく、ランチもゆっくりできないなぁ~ママさん、すぐ戻るからね」

なにしろ、お向かいさんの社食的ハンバーグ屋ニューバーグにいたら店からは丸見えなのでしょうがない。

「店長。だって、テレビ東京の方が取材の件で来ているのよ」

わお! 話を聞けばショーウィンドーの乱歩フェアが素敵だったので取材したいとのことだった。

そりゃ、飾りつけは武蔵美の学生バイトだもん!

ショーウィンドーは、アーチ型に湾曲した窓が終わって平面になったところからサブドアまでの縦横2mの大型なので通行人にも目立つ。

出版社の宣伝に貸したりして収入源でもあったけど、フェア告知のPRにも使っていた。

そこに木の枝や仮面などを持ち込んで、江戸川乱歩の幽玄世界を創り出したバイトくんの手腕で注目されたのだから、ミニフェアだったのが恥ずかしいくらい。

テレビ取材の「トゥナイト」側は、『いま甦る江戸川乱歩人気』括りのワンコーナーなのでミニフェアでもOKだったようだ。

初体験のロケの記憶は、照明のライトって熱い! という間に、終わってしまったことくらい。緊張すると、どもって滑舌が悪くなるんだけど凌げてよかったぁ~。

その後もテレビ東京は、ゲバラブームが再燃したときや『出没!アド街ック天国』での取材と続くのだが、彼らのフットワークの軽さは関係者が高円寺在住と考えねば腑に落ちない。

なら、見られていると意識したPRを継続してればいいものを・・・すぐ、忘れた! ただただ突っ走っていた。

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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