ベストセラー『残念な教員』にみる、教育界の危うさ
新年度シーズン必見! 混迷する教育現場の原因を探る 2/5
新年度が始まり、新たな環境、出会いなどたくさんの変化が起きますね。そのなかでも、やはり学校では子どもにとって、そして保護者にとって、一番気になるのは先生問題。去年のベストセラー『残念な教員』にみるように昨今では質の落ちた教師がはびこっているのでしょうか。
『残念な教員』は本当か
去年のベストセラー『残念な教員』の筆者は1975年生まれ、京都大学大学院教育学研究科を修了して大手新聞社の記者となり、その後フリーランスのジャーナリストに転身、現在は関西の中高一貫校で教員をしているとのこと。氏は「まえがき」に結論的にこう書いている。
〈ここまで述べてきたように、私は、プロフェッショナルとして生徒の成長という「結果」を重んじるスタンスで教育活動を行っている。本書を執筆した目的も、プロフェッショナルと呼べる教師が増え、日本中の生徒が大きく成長できることを願ってのことだ〉
簡単に翻訳すれば、私は教師のプロフェッショナルとして「結果」を出す実践を実際にやっている。日本の教師たちも私の教育活動に学んで立派な教師になり、日本中の生徒たちを「成長」させることを願っている、という内容である。まだあまり教員の経験はないようだが、ものすごく高い自負心である。現場の教師がこれだけの大言壮語をしたのをいままで見たことがない。ことによると、林氏は「いっている」ほど傲慢な人ではないのかもしれないが、少なくとも「いっている」ことから判断すると傲岸不遜に読める。
いずれにしても、私は林氏の実践を見ていないので、氏が自負しているような立派で優秀な教師であるかどうかはわからない。ただ常識的に自分がプロフェッショナルな教師のモデルと自称している人はかなり怪しいと思うし、そんなにすごい教師は居るはずがない。だいたい百万人もいる教師たちの理想のあり方を一人の人が担えるとは思えない。それに林氏は〈私の経験で言えば、50%以上の教員は大多数の生徒よりも鈍感であり、道徳の面でも劣っている〉と断言(誹謗)している。教師でありながら、これほどはっきりと教師に攻撃的な言説を展開する人もめずらしい。
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