「体力の続くかぎり、自分のことは自分で始末しなさい」多忙な土光敏夫はこうして“自分の時間”を作った
【連載】「あの名言の裏側」 第2回 土光敏夫編(3/4)土光氏の考える時間管理術
多忙を極めた土光氏は、時間の使い方に関しても、徹底して合理的であることを望んだ。それは仕事のみならず、プライベートにも及んでいた
体力の続くかぎり、
自分のことは自分で始末しなさい ──土光敏夫
土光敏夫氏に関する過去の記事でも触れてきたように、土光氏の生き方の根幹にあるのは、自らの足でキチンと立ち、周囲を欺いたり、過度に依存したりすることなく、自らの責務を忠実かつ真摯に遂行していく姿勢です。
そうしたスタンスは、自己啓発書の古典として長らく読み継がれてきたサミュエル・スマイルズの名著『自助論(西国立志編)』で語られているような精神性にも通じます。つまりは、時代や境遇に左右されない確かな普遍性を備えた“人生の要訣”が、土光氏の言説には数多く散りばめられているともいえるでしょう。
たとえば、時間管理。セルフマネジメントは大人として、ビジネスパーソンとして必要不可欠な取り組みですが、そのなかでも「いかに時間を上手く使いこなすか」という問題は、仕事にしろ余暇にしろ必ずついて回る最重要課題のひとつです。
『土光敏夫大事典』という本のなかに、次のような一節が登場します。
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時間というものは、各人の心の中にある、といえるのではなかろうか。
いかに忙しくとも、私の時間をつくろうと思えばいくらでもつくれる。要は仕事と私生活の間にメリハリをつければいいわけで、たとえ三〇分でも一時間でもプライベートな時間は大切に大切に使う。
そして中身を濃くすれば、それはそれで、何時間分の休みに相当するのではないか、と。
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