あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第4話〉「旅立ちと始まりの春のお話」
春は、子どもにとっても出会いと別れの季節
桜の蕾がわずかに膨らみ、間もなく春が訪れようとしている3月の終わり。子どもがまるまる一年間通っていた保育所の最後の登園日でした。
今まで通っていた保育所が来年無くなってしまうので、遅かれ早かれ転園しなくちゃいけない。やむを得ない事情があったとはいえ、明日もあさっても保育所に行って大好きな先生と友達に会えると信じている子どもの未来を私たち大人が裏切ってしまった気がして、とても悲しい気持ちになりました。子どもたちが「ばいばい。たっち」と手をパチンと鳴らしている姿を見て、涙がぽろぽろと出てしまいます。
両手に荷物を抱えて子どもを抱っこしたまま上った、冷たくてひんやりする階段(夏はいいけど冬は辛かった)。手を 繋いで一緒に上れるようになりました。
部屋について準備を済ませて「行ってきます。一日がんばるんだよ」そう告げるとイヤイヤと泣きながらしがみついてきたね。一生懸命な小さな手がたまらなく愛おしかった。それが今や、部屋に入るなり先生の所へ一目散。おとうちゃん、ちょっと寂しかったな。
お迎えの時間、初めは部屋に入って「お~い」と名前を呼ぶと泣きながら私のところへやってきました。最近は遊びに夢中で、なかなか帰ろうとしてくれません。
一度だけ、みんなとお散歩中のあなたを見かけたことがあります。やっと歩けるようになった頃でした。距離の長めのお散歩、歩くのが辛かったのか、ひとりだけ大泣きしながら歩く姿を見て、電柱の陰から「がんばれがんばれ!」とエ ールを送りました。そんなあなたも1時間以上歩けるようになりましたね。えらいぞう!
秋頃には毎日のようにどんぐりを持って帰ってきたね。自慢げにどんぐりを見せてくるあなたを見て、おとうちゃんも嬉しくなりました。そのどんぐりをひとつ、お守りにして毎日持ち歩いていますよ。
正直なところ、初めは子どもを保育所に預けることに罪悪感を感じていました。その気持ちを無くさせてくれたのは、保育所の先生方が子ども達にも私たち親にも細やかに気配りをしていただき、毎日楽しいことを企画してくださったおかげ。目を輝かせて保育所に通う子どもを見て、罪悪感なんて持たなくていいんだと思うようになりました。先生方には本当に感謝しています。それから美味しい給食を作って下さった調理師の方にも感謝です(毎日おかわりしてた)。
さあ、気持ちを切り替えて、週末は3人で桜の綺麗なあの公園に記念写真を撮りに行こう。悲しみの先にはきっと、もっと幸せな未来が待っているから。
新しい保育所でも、がんばりましょうね。