災害時は給料日の前でもお金を受け取れる
いざというときのために知っておきたい「給料の非常時払い」
「この法律によって支払われるのは、あくまでもその月の給料の分のみ。給料は労働の対価ですから、まだ働いていない分に対しての給料は支払われません。つまり、2カ月、3カ月分を前借りすることはできないのです」(岩沙弁護士)
非常時払いを受けたいと思ったら、具体的な手続きはどのようにすればよいのだろう。
「賃金の非常時払いは会社に請求するものです。どの部署に申請を出せばよいかは会社ごとに異なりますので、非常時払いに関する社内規則を一度確認してみて下さい。」(同)
家族が罹災した場合でも非常時払いは受けられる
働いていた夫は単身赴任で家を離れており、夫自身は罹災していないというケースもあるだろう。そのようなときでも、夫は家に残っていた家族のために非常時払いを受けることは可能なのだろうか。
「労働者の収入によって生計を維持する者が災害をうけた場合にも非常時払いを請求することが可能です。したがって、本人は罹災していないが家族が罹災した場合でも非常時払いを請求することができます。」(同)
もし勤務先の会社も罹災してしまっているというときはどうだろう。
「法律上は非常時払いを請求する権利があっても、会社にお金がなければ事実上受け取ることができません。会社が罹災したため、事業活動が停止し、再開の見込みがなく、賃金の支払いの見込みがないなど、一定の要件を満たす場合には、国が会社に代わって未払賃金を立替払する『未払賃金立替払制度』を利用することができます。最寄りの労働基準監督署へ相談しに行くとよいでしょう。」
被災者がお金の心配をせずに、身の安全と健康が確保されることが一番だ。しかし、いざというときのために「給料の非常時払い」のことを知っておくのは、災害の備えとして決して無駄なことではないだろう。
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