ハイパー情報化社会が暴露した「愛と性」のリスク【藤森かよこ】
馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性
「ニッポンに王子様はもういない。愛も性もゼイタク品となった時代をサバイブする、すべての女性が読むべき激辛にして、効果抜群のワクチン本だ。」作家・石田衣良さんが絶賛した藤森かよこ氏の最新刊『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』が話題だ。性的退却と人間関係の解体が進行してしまった日本で、“愛と性”を諦めていない女性たちは幸せな人生を創ることはできるのか? SNSによって秘密にしていた性事情まで瞬時に暴露されてしまうハイパー情報化社会。そんな時代を生きる私たちの「愛と性」のリスクとは?
◆結婚の半分以上は、ほんとうは破綻している
ハイパー情報化社会のネット社会が到来する前は、不特定多数の他人の人生や生活の事情というものに触れる機会は比較的少なかった。小説や映画やドラマで想像する程度だった。とはいえ、それらはフィクションでしかない。しかし、SNSなどで他人の実生活(ノンフィクション)を垣間見る機会は多くなった。
今は、「5ちゃんねる」などの匿名掲示板や、SNSやネットニューズによって、いろいろな女性の人生例を知ることになる。それも不幸な例ばかりだ。それらをすべて事実と見ることはできないが、それらの多くは男性嫌悪を女性の中に喚起するようなものばかりだ。
性犯罪者は少なくない。うっかり愛想良くしているとストーカーされる。恋愛や結婚は相手の選択を間違えると、人生が潰されかねない。また相手選びは間違う方が多い。間違うか間違えないかは、ほとんど運頼みだ。とはいえ、じっくり考えて迷っていたら、チャンスの神様はどこかに消えてしまう。
女性を殺傷する加害者は、夫か元夫か同棲相手か交際相手が多い。また、好もしい相手との性交は楽しいものではあるが、性病に感染するリスクがある。性交相手が男性の場合は望まぬ妊娠のリスクがある。宿った生命を中絶という形で殺すのは忍びないと思い出産しても、ろくでもない人間に育つ可能性はある。
妊娠リスクについては、アフターピル(緊急避妊薬)が医師の診断や処方箋なしで薬局で購入できるようになること(市販化、OTC化)が、2020年10月に開催された内閣府・第五次基本計画策定専門調査会(第7回)の資料『第五次男女共同参画基本計画の策定に当たっての基本的な考え方(案)』で言及された。言及されただけだが。海外ではとっくの昔に認可され、未成年者には無償提供している国もあるというのに。
私が何を言いたいかと言えば、ハイパー情報化社会においては、恋愛神話や結婚神話や家族神話などで女性を洗脳し、女性をして結婚生活や家族や親族の厄介事を丸投げするゴミ箱にし続けるという状態を保つのは、どうやっても無理だということなのだ。
生徒間のいじめと呼ばれる暴行事件への対処を間違え、事件を隠蔽しようとする学校の校長や教頭や担任教師や教育委員長の名前や顔がSNSに何度も何度もさらされる時代だ。皇室のメンバーでさえ、あることないこと書かれている。
21世紀はばれる時代だ。聖人の誉(ほまれ)が高かった非暴力主義者のマハトマ・ガンディー(1869- 1948)は、小児性愛者で、全裸の幼い少女と同衾(どうきん)するのが常であったということまで暴露される。この件については、ある識者は「結局のところ、偉大な混乱は偉大さのしるしでもありうる」とガンディーを擁護している。物は言いようだ。
『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』を書いているのは、第26回参議院選挙の投票日が近い2022年7月はじめであるが、ネット界では、日本維新の会の前代表とれいわ新選組の代表の強姦疑惑がささやかれている。事実なのだろうか? 事実だとしたら、私は、その人物たちに対して、女性をして性交したくなるように粘り強く口説くことすらできないで、よく政治家になるなあと呆れる。政治は、ひたすら交渉と説得ばかりの作業だと思うのだが。
ハイパー情報化社会の副作用として、愛と性に関わる負の側面や悲劇がどんどん公開される。その結果として、今の恋愛離れや非婚化があり、それによる少子化があり、離婚数の増加がある。今や3組に1組が離婚する時代だ。家庭内別居とか別居などの実質的離婚もあるので、結婚の半分以上は、ほんとうは破綻している。
(『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』の本文より抜粋)
文:藤森かよこ
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