〝学歴厨のFラン大学生〟が【たらい回し人生相談】にやってきた(前編)
【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第1回
「ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く」・・・本邦初のカルト人生相談シリーズ。今回訪ねてきたのは、学歴厨のFラン大学生「K君」。中学受験失敗以来ずっと学歴コンプに悩まされつづけてきたK君は、“正しい生き方”なるものを求めて彷徨いつづけている。すぐになんでも正しい答えを欲しがって周囲の人たちを困惑させる姿は駄々をこねる幼稚園児のよう。そんな彼が相談する相手が、「大司教」と呼ばれる謎の危険人物。ある筋では名の知れた博覧強記の異常天才である。先般の人生相談の一部始終を公開。さらに本人たちによる原稿校正時のコメントもそのまま付記した。(前編)
<相談の経緯>
『みんなちがって、みんなダメ』等の著作で知られるイスラム法学者の中田考先生はひとつの悩みを抱えていた。以前の記事にて、レンタルおじさんとして人生相談を行った。その際に依頼してきたK君がどうにもならないのである。最終的に中田先生は彼をツイッター上でブロックした。通称バカブロック(注1)。
その後、周囲の年長者も彼の相談に乗ったのだが、やはり同じように匙を投げることになった。なぜこんなことになってしまったのだろうか。そんなある日、中田先生のもとにメールが届く。
「好きな人ができました」
差出人はもちろんK君だ。賢いK君はブロックされているツイッターを迂回し、メールでさらに質問を投げつけたのである。
ストーカーに悩まされた中田先生は「ある人物」にK君の相談相手を依頼した。人生の答えを求め、たらい回しにされたK君が最終的に行き着いたのは……界隈のО氏、通称「大司教」として知られる問題しかない人物である。
北大生私戦予備事件の中核人物として一部に知られる大司教は、周辺からフィクサー、人間捨て場、流星街(注2)などと呼ばれている。どう考えてもまともでない人物なのは確定的に明らか。異常な人生を送っている人物に人生相談をしたらどのような結果が生まれるのだろうか?
薄められた毒は薬になるのか? 毒のままか? そもそも、なぜK君は「大司教」に行きつくまで人生相談をたらい回しにされてしまったのであろうか?
<人物紹介>
K君:Twitterを通して中田先生と知り合い、BEST TIMES連載にて「中田考 レンタルおじさんはじめました」で第1回ゲストに登場。人気記事となり「K君のその後が気になる」という声があった結果当記事が書かれるに至る。ちなみに前回記事では「結婚せよ」「バカなツイートをするな」というふたつのミッションを与えられていたが、結論から言うといずれも失敗した。意図不明な質問をくり返す癖があるなぜなぜ期(注3)の若者。現在Fラン大学生。一浪一留。友達がいない。学歴厨。
大司教:異常者の王。日本の大学生をシリアで戦わせようとしたら公安とか国にすごく怒られ、新しい法律ができたりした。こしあん入りの饅頭のような風体で一見無害そうに見える。
✳︎校正付記 K君による補足:(学歴厨について)まず、この部分は中学受験に強い思い入れがあって大学受験それ自体には殆ど興味がないという私の抗議を記載してください。 筆者:どっちみち学歴厨じゃん……。
【最悪の人生相談 始まる】
出会いの物語:
大司教とK君が初めて出会ったのは、ある定例食事会でのこと。K君は初対面の大司教の出身中学について質問しつつ、ズボン(自分のではなく、大司教の)で手を拭いてきたので、大司教はその印象が強く残っていたという。
ちなみに骨付き肉を手で食べていたので手はタレと唾液でベトベト、なおかつズボンは白だったとのこと。それを指摘されてあわてたK君は(使用済みで汚いおしぼりで)拭こうとして汚れをさらに拡張もしたという。
K君はもともとズボンで自分の手を拭くクセがあり、近くにあったので無意識に相手のズボンで手を拭いてしまったという。言い訳としてもどうなのかという感じである。この「おててふきふき事件」はある種の予兆だった。
その後、前述のとおり中田先生はK君の教導に見切りをつけ、最終的に「責任をもって」人間捨て場こと大司教に彼の人生相談を投げた。
大司教はイヤイヤ承諾し、本記事が書かれるに至る。
✳︎校正付記 K君による補足:これですけど、大司教の方を向いて身を乗り出していた+大司教が開成出身である事を聞いた衝撃で思わず大司教のズボンに手を置いたのだと思います。 筆者による補足:どっちみち汚してんじゃん……。 K君による補足(2回目):細かいことですけど骨付き肉食べてるだけならソースくらいしか付かないのでは? 筆者による補足:骨付き肉を手づかみでぐちょぐちょ食ってたらヨダレも入るでしょ……。人のズボン汚してソースぐらいってのもどうか。
対談開始:
対談は初めから先行き不安だった。K君がまいごになったのである。大司教が「駅の改札前で待ち合わせ」と伝えていたのだが、K君はなぜか駅の外に出てしまっており迷っているとのこと。改札前という言葉をかなり広い意味でとったのだろうか?
対談場所はKKベストセラーズ会議室だ。開始時点で室内の雰囲気は異様なものだった。大司教は悠然と構え、全身から不気味なオーラを放っている。K君はのそのそと現れ、机に無造作にリュックを置く。空いていたチャックから何かが床にこぼれ落ちた。
たらい回し人生相談、開始。
早速の質問責め:
K君:タリバン支持してますか?
大司教:私が支持しようが支持しまいが、それがなにか意味あるんですか?
K君:興味です。タリバン好きですか? ガニ政権とどっちがマシだと思ってますか? 政権には汚職が蔓延してるのですか? この本読んだことあります? 私の呼び名はイスラム名と本名どちらがいいですか? ○○(大司教のラインユーザー名)ってなんですか? なぜそれをユーザー名にしたんですか? それを何故LINE名にしたのですか?(注4) 開成に高校から編入ですか? 年齢にもよりますが浅野を知らないのは開成の高校編入だからでは? なるほど、3日は筑駒ですか?海城ですか?(注5)中田先生のライン貰えるか頼んでいただけません? イスラーム関係の本は何を読みましたか? 神性におけるタウヒードは聞いたことありますか? 『イスラーム学』『イスラーム革命の本質~』『カリフ制再興』は読みましたか? アラビア語ですか? イスラーム学分かりにくくないですか? 『イスラーム学』はどうでしょうか? あなたの体感はどうでしょうか? 信仰はお持ちでないのですか? 彼(中田先生)と会食する予定はありませんか?(注6)
大司教:質問の意図はなんですか?
K君:純粋な興味です。
大司教:興味本位の質問には答えたくないです。
K君:そうですか。(注7)
大人のなぜなぜ期:
大司教:君は無意味に質問をくり返すクセがあるね。そして質問の意図を問うと「ただ訊きたかっただけです」「興味本位です」という回答をするけど。
K君:はい。
大司教:宗教や学歴、プライベートなどに関わる質問も無遠慮にするけど、それはとても攻撃的にとらえられるわけですよ。何がしたいんですか。
K君:わからないですねえ。
大司教:俗になぜなぜ期と言いますけど、児童の発達過程でそういう時期があるよね。なんでも質問する時期。
K君:なんでそんなに怒ってるんです?
大司教:怒ってもしょうがない。指摘をしているだけです(とかいいつつ怒っている)。
注1:バカをブロックすること。そうとしか言いようがない。お堅い表現をすれば、貴重なリソースの空費を避けるため、無用無益な関係性の維持を避けるビジネススキル。 注2:人気漫画作品「ハンターハンター」に登場する架空の地域、なにを捨ててもいい。 注3:小児の発達過程のひとつで、なんにでも質問をくり返す時期のこと。時期は個人差があるが四歳前後が一般的とされる。K君は二十歳で来たので比較的遅い。 注4:ママ。同じ質問を二度している。 注5:中学受験に関する話題。K君はどこを受験したかまで拘っている。指摘されても直らないようだ。 注6:実際には問答の形でなされた質問であるが、長大で要領を得ないため『ごく一部の』質問のみ抜き書きしてまとめた。 注7:この後も興味本位の質問をくり返す。
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