精神的自立が難しい〝学歴コンプの大学生〟はどうなっていくのか【たらい回し人生相談】(後編)
【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第2回
【K君のこれから】
医者にかかるべき:
インタビューの間も、K君はたびたびうつなど精神的な問題があるなどと話していた。症状があるなら適切な治療が必要だが、彼は適切なケアを受けられているのか。
大司教:あなたの問題は現代社会だとひとまず宗教でなく医療の範疇かと思います。君は自己診断で自分はうつだとかいろいろな症状をしきりに言うようだけど、ちゃんと医者にかかって正式な診断を受けたことはあるんですか?
K君:いちおう診断を受けた事はあるんですが、自分の症状をあまり医者に話してないんですよね。
大司教:いろいろな症状があるのは本当なんだろうと思うけど、ちゃんと治療に取り組むべきなんじゃないですか。通院して薬を飲むとか。とにかく、医師に対しては症状を隠すのに、こういう場では症状を言い訳に使うというのはどうなんですか。
K君:薬は両親が飲むなと言ってます。
大司教:親が精神科に連れて行ってくれないんですよね。
K君:うちの親は反医療みたいなところがあるんですよね。
大司教:まずそこからですね。
K君:父親なんて灘→理1→博士号なのに薬飲むと脳細胞が壊れるとか言ってます。(注14)
大司教:バカなんでしょうね。
K君:ストレスで頭が働かないなら負荷をかけて頭をもっと鍛えるべきとか言ってます。
大司教:無理でしょ。運動したら骨折が治るのか。とにかく、君は医師には問題を話さないという割に、私にはしきりに自分の問題について訴えるけど、それこそ医師に対して診療室ですることです。
医者に行かせない親:
大司教:君はもしかしたら素材はいいのかもしれないが、そうやって親に支配されているかぎりどうにもならないでしょうね。
K君:影響を受けて薬が怖くて飲めないんです。悪影響があるんじゃないかと。
大司教:(薬を飲まなくても)もう充分悪いことになってるじゃないですか。
K君:脳がぶっ壊れるのでは?
大司教:もうぶっ壊れてるでしょ。
K君:でも薬を飲んでからぼんやりした顔になった人も知っています。彼は魂が抜けたようになった気がします。
大司教:薬が合ってないという可能性はあります。そういうことはありえる。それはお医者さんに相談してください。それはそうと、君もぼんやりしていて魂が入っているようには見えませんけどね?
K君:なるほど。
大司教:現状でどうにもなってないのに何を怖がるんですか?
K君:まともな判断ができないんですよね。
大司教:なんにせよ君の親は無責任ですね。努力で乗りきれる程度の生ぬるい人生だったんでしょう。
K君:自分も親がおかしいとは感じます。
大司教:精神的に自立できないと厳しいと思いますね。
✳︎校正付記 K君による補足:自然に壊れたなら諦めがつくけど人工物で壊れるのは嫌。 筆者による補足:周りの人が困るってのもあるんだよなあ……。
✳︎校正付記 大司教による補足:無意識なのだろうが、K君は会話中の基本の表情が小馬鹿にしたような薄ら笑いで、「ハァ?」「フゥン」とちいかわのような間投詞を頻繁にはさむので常軌を逸して不快だった。 K君による補足:(上のコメントについて)「ハァ?」じゃなくて「はあ」だと思います。「フゥン」というより「ふーん」 筆者による補足:何を言っているの?
「就職しようと思う」:
大司教:これからはどうしていくつもりですか。
K君:普通に就職すると思いますけど。
――あの。今ちょっと驚いたんですが。就職って大半の人間は苦労するところじゃないですか。
大司教:まあそうでしょうね。知らんけど。
K君:えーと(職場って)こういう(当対談)みたいな抽象的な話とかする場所じゃないと思うんですよ。なんか日常会話みたいな。そんな感じじゃないすか。これをこうしなさいみたいな。
――えっ? うーん……。
K君:いちおう引っ越し業者のバイトはやったことがあって、この荷物を運べとかそういうことならできるんですけど。
大司教:そういう感じでできるならそうすればいいですね。
✳︎校正付記 K君による補足:本当は大学院に行きたいです。
K君が今後、なるべく本人にも周囲にも望ましい経過をたどることを祈るばかりである。
筆者コメント: ようやく仕事が終わった。 音声データは時間にして五時間半となった。国際会議かな? 聴くのもそれだけかかるということだ。俺の職域ではないから次からは文字起こしして送ってください。お願いしましたよ。 音声ファイルが送られてきたとき、そのファイル名は「拷問」だった。よくわかってるじゃないですか。勘弁してほしい。
その後: 関係者の記事チェックの際、K君は際限なく趣旨不明の修正を要求してきた。とにかく彼は相手(筆者など)の手間などまったく頭にない行動をとるので「あっそういえばこれも」という感じで思いつきの修正事項を投げてくる。 O氏が対応にあたり、K君のコメントを記事に挿入する形でお届けしている。それが氷山の一角であると思っていただきたい。マジで勘弁してほしい。
注14:精神医療に対するよくある偏見のひとつ。他分野の薬と基本は同じである。
<了>
✳︎連載「たらい回し人生相談」は毎週日曜日更新予定
文:ミスター発達
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