ChatGPTの普及で改めて暴露される「動物化」【仲正昌樹】
「ChatGPTとどう付き合っていくのか」問題の前にその特性を学べ
また、最近の学生やツイッター論客には、「てにをは」の間違いがやたらに多く、「〇〇は◇◇が▽▽した、と想定している」というような複合的な文をちゃんと完結させることができないで、「…▽▽したのだが、◇◇は…だった」というような繋げ方をするせいで、何を言っているのか、かなり好意的に解読しようとしても、理解不可能であることが多い。本人たちは、ちゃんと伝わっているつもりでいるのだから、質が悪い。ChatGPTは、そういう文法上のミスはしないし、意味が通じないので、却下しても逆切れしない。すぐには無理でも、ディープラーニングによって内容的にも形式面でも、同じ課題に対する作文能力を向上させていく可能性は高い。逆切れしたまま、学習放棄してしまう輩よりはいい。
簡単に言うと、動物化した自分をそのまま否定されたくなくて、ダダをこねるような輩は既に超えている。逆に言うと、自分の文章力・読解力を改善しようと常に努力していないと、「人間」ならではのコミュニケーションの柔軟性を失い、簡単に、ChatGPT以下になってしまう。
■ChatGPTを使った文章は倫理的・法的問題は生じないのか
③ [GPTによる作文を利用したものを、自分の文章として宿題や論文に利用することに倫理的・法的問題はないのか] には、二つの要素がある。(a)著作権に関わる問題と、(b)作文した人間の能力や努力の評価の問題だ。
(a)[著作権に関わる問題] については、今のところ、OpenAIがChatGPTによって作成された文章に対して著作権を主張してはいないし、ChatGPT自身が“自我に目覚め”て、自らの著作権を主張することもなさそうなので、ChatGPT自体の著作権の問題は当面考えなくてよい。問題になるのは、ChatGPTが利用したオリジナルになった文章の著作権との関係だ。ChatGPTを利用していたら、著作権侵害や剽窃になってしまう恐れはある。
ただし、これはChatGPT固有の問題ではない。コピペした文章をどの程度変形したら、もはやオリジナルな著者のものではなく、自分の文章になったと言えるのかは常に難しい問題だ。自分が直接コピペ→変形したら、それがルール違反になりそうかどうかは、ある程度自覚せざるを得ない――自覚しないままやっている、動物化が進んだ輩も少なくないが。将来的には、ChatGPT自体が問題になりそうなコピペを自動的に回避したり、そういう恐れが高い作文にアラートを付けてくれたりするようになるかもしれないが、それまでは、利用している各人が、コピペチェックツールを使ってチェックするしかない。チェックして、ひっかかったので、書き直していたら、結局、最初から全部自分で書いた方が早かったということになるかもしれない。