“学級崩壊の芽”は4月からすでに出始めている 最大の原因と最善の対策とは【西岡正樹】
多感な子どもたちを教え支えていくために
■子どもたちが見ているのは、教師の一貫性と平等感だ
私自身が5年生の初めに受けたM先生からの衝撃は、その後の2年間を決定した。そして、担任のM先生の姿勢は常に一貫し、その厳しさと子どもへの言葉がけは6年生の最後まで貫かれていた。その一貫したこだわり故に、子どもたちの主体性や独立心は培われたといっても過言ではないだろう。
私は今でも憶えているが、小学校の6年生最後の学級会は、私の教師としての目標地点にもなった程すばらしかった。突然指名されても平然とこなす司会者(当時の学級委員)の巧みさ、それに乗って自分の思いや考えを伝える子どもたちの自然な会話、時々介入する教師のタイミングの良さ、時に聞こえる笑い声、その時に得た満足感や達成感は、それまでの数々の試練を笑い話に変えていたのだ。
M先生は、たった一言で子どもたちに「このクラスの子どもたちは自分の思いや考えを持ち、それを伝え合わなければならない」という気持ちを持たせ、これから進むべき道を明確に示した。そして、それをクラスのすべての子どもたちに求め、言葉を駆使し、手を抜くことはなかった。その一貫性と平等感は、子どもたちにしっかりと伝わっていた。だから、2年後には子どもたちが主体的に動き、個々が満足できる学級会にたどり着くことができたのだ。
学年が変わり、新しい学年になった時、子どもたちはすべてをリセットし、新しい自分になろうと意欲的になる。それが子どもだ。このリセットしている時の子どもは、程よい緊張感もあり、とても吸収力がある。しかし、このような始まりの時は、そう長くは続かない。子どもたちだけではなく、この時期の教師の頑張り(自分の思いや考えをしっかり伝える)が1年を決めるのだ。
文:西岡正樹