マイナ保険証トラブルの実態調査 “顔認証付きカードリーダーで認証ができない”という現場の大混乱
日本では「国民皆保険制度」によって、病院で支払う医療費負担は「原則3割」になっています。
どこの病院へ行っても、保険証を提示すれば医療費が3割になるため、医療費を3割しか負担していないことを意識する機会はあまりないように感じます。
全額負担であれば、ちょっとした怪我や体調不良なら病院へ足を運ばなくなる人はいるんじゃないでしょうか。
病院の窓口で「本日は全額負担になります」と言われたら、いくらになるんだ?とお財布の中身を確認しつつ軽くパニックになってしまう気がします。
6月にはいり、連日マイナンバー関連のトラブルが報道され、私自身ヒューマンエラーについて言及した記事を書いたところでしたが、6月20日に実施された加藤厚労大臣の会見で、マイナ保険証に関わるトラブルの状況と今後の対応についての説明がありました。(注1)
この会見で、マイナ保険証に関連したトラブルや問題についての実情がいくつか判明し、現場での対応マニュアルが現状では不完全であるとともに、問題については今後改善していく旨の発言が繰り返しされていました。しかし、医療機関へはトラブルが起きたさいに、今までは保険証と同様の柔軟な対応を求めていたようで、政府は性質の違うマイナ保険証と保険証を同じ目線で見たまま見切り発車をしてしまったように感じます。
具体的には、転職などでオンライン資格確認のシステム上にデータ登録を行うまでのタイムラグ。停電、通信障害、機器のトラブルなどで登録データにアクセスできないといった実務上の問題。受診者が持参したマイナンバーカードのICチップ破損や、光の加減などさまざまな状況で顔認証が出来ないなどオンライン資格確認のシステムがうまく機能しないといったトラブルについての言及がありましたが、マイナ保険証の運用を開始する段階で、このあたりは現場で混乱しないように対応マニュアルを作っておくべきったのではないでしょうか。
医療機関側もそうですが、利用者側は体調不良で病院へ行っている方も多く、問題なく使えると思ってマイナ保険証を持参したのに、トラブルでうまく使えませんとなれば肉体的にも精神的にもつらいんじゃないですかね。
これらのトラブル対応として、マイナンバーカードを顔写真付きの身分証として本人確認を行い、本人のデータを医療機関で保存してもらったうえで、自己負担分である3割を受領し、事後的に被保険者番号などの資格情報の確認を医療機関へお願いしているようです。
実際、こういったトラブルが現場でどの程度起きているのかを、全国保険医団体連合会が調査を実施しており、6月21日に記者会見を行っています。
注) 1) 加藤大臣会見概要 (令和5年6月20日(火)10:17~10:47 省内会見室) https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00567.html