マイナ保険証トラブルの実態調査 “顔認証付きカードリーダーで認証ができない”という現場の大混乱
◾️マイナ保険証「紐付け問題」だけでなく「認証できない問題」
また、マイナ保険証のトラブルで「一旦10割負担」となった事例も現場の声として上がっており、医療機関側にとってはマイナンバーカードの提示のみでは資格確認が困難なため、10割負担対応を余儀なくされているといった声が出ているようです。
利用者側にとっても、マイナ保険証がトラブルで使えないと伝えられ、「本日は10割負担になります」言われれば、いつもの3倍以上の医療費を一時的にとはいえ請求されるわけですから、怒る人もいるでしょうし、支払いが難しい場合は体調を崩したまま帰宅することにもなりかねません。
一旦10割負担となるケースはマイナ保険証に限った話ではなく、従来の保険証でも起きていた事例ではありますが、マイナ保険証が使えると思って保険証を持ってきていないのに使えませんとなると、単純に保険証が使えない時とは違って、納得できずに抱く感情が違ったものになっているんじゃないでしょうか。
マイナ保険証の実態調査から見えてきた現場の声は、連日報道されていたようなマイナンバーとの紐づけ問題だけではなく、顔認証付きカードリーダーでの認証が出来ないことに関わるトラブルが多い印象があります。
対応マニュアルを整備しつつ、ひとつひとつ解決していける問題も多いですが、マイナ保険証がどういった物なのかを国民が広く理解しなければ解決しない問題もあるように思えるため、教育機関や企業など国全体でマイナ保険証の仕組みについて周知を促進していく必要性があるように感じます。
SNS上ではマイナ保険証に否定的な論調が多く、トラブルを大きく取り上げることで炎上騒ぎになっていますが、国民がマイナ保険証について議論を交わす場になっているようにも見えるため、それぞれの立場から議論を尽くして理解を深めていくのはある意味ではよい傾向なのかもしれません。
文:谷龍哉