榊原郁恵から堀江しのぶ、広末涼子、AKB48、吉岡里帆。水着はアイドルの通過儀礼である【宝泉薫】
■ポリコレ的な「妙な正義感」が文化をダメにする
一方、ファンには性の目覚め、いわば覚醒がもたらされる。筆者は子供のころ、山口百恵の水着ポスターを見て、女体のくびれというものを知った。彼女が教えてくれた「女の子の大切なもの」のひとつだ。
つまり、水着はアイドルとファン双方にとって、現代的な通過儀礼でもあるわけだ。
通過儀礼といえば、江戸期から明治期にかけて、各地に若者組というものが存在した。10代後半から20代前半の男が加入し、年長者が年少者にさまざまな生活指導をしていくシステムだ。夜這いを指南して、童貞を捨てさせることもあり、性教育の場としても機能していた。
これが廃れたのは、欧米諸国からの前近代的だという批判も一因。そう、いつの世もポリコレ的な「妙な正義感」が文化をダメにするのだ。
アイドルの水着についても、まだまだ邪魔をする人が出てくるだろう。せっかくの文化を「芸能の敵」たちに燃やさせてはいけない。
文:宝泉薫(作家、芸能評論家)