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こんなに弱くてゴメンナサイ…小田城(茨城県つくば市)の謎

“歴史芸人”長谷川ヨシテルが太鼓判を押す!?「最弱の城」

「小田城跡歴史ひろば」前で“いざ、出陣!”の私

 

 こんにちは!歴史芸人の長谷川ヨシテルです。
今回もあなたの母性本能をくすぐる『最弱の城』をご紹介したいと思います。第2回は茨城県つくば市にある「小田城」です! ここ数年発掘調査が続けられ、史跡公園として整備された城跡です。

 小田城の代表的な城主には、一部の戦国マニアの中で話題沸騰中の武将の「小田氏治(おだうじはる)」! 別名「天庵(てんあん)」という方がいます。オダはオダでも織田でなく小田の「じゃない方武将」です。

 さて、小田城の歴史は古く、鎌倉時代まで遡ります。源頼朝からの信頼が厚かった八田知家(はったともいえ)という小田氏の祖となった武将が常陸国の最初の守護に命じられて本拠地にしたと言われています。鎌倉時代以降、何度も城は作り替えられたそうで、戦国時代の天庵さんの時代になると本格的な城郭へと変貌を遂げました。

 パンフレットの上空写真や地図を見ると、平地に築かれた典型的な「平城(ひらじろ)」であることがわかります。まさしく鎌倉時代の「方形館(ほうけいやかた)」の伝統を引き継いだ由緒正しきクラシックなお城です。

 空堀か水堀かはまだ不明らしいのですが、幅の広い堀が幾重に巡らされています。その堀の形状は「畝堀(うねぼり)」と「障子堀(しょうじぼり)」だったそうです。これは上から見るとワッフルの様な形をしている堀で、敵が堀底で自由に身動きが取れなくする効果があります。

往年の深さは、だいたい歩道橋の高さと同じ4~5m!さらに、堀の上には土塁や櫓台も設けられております!

 また小田城は、強いお城の必須条件である「川」もキチンと完備しています。川を自然の水堀として利用することによって相当な防御力が得られるからです。小田城の近くにも「桜川」が悠々と流れています。

 ところが!

このような難攻不落のお城の条件が挙げられる小田城は、実は日本を代表する『最弱の城』だったのです!

 その最弱ぶりがわかるデータとして、冒頭に紹介した戦国時代に城主を務めた天庵さんの戦績をつくば市の公式パンフレットに基づいて簡潔にご紹介したいと思います。

【天庵さんの戦績】
1534年 小田政治の子として生まれる。
1548年 父の死後、家督を相続。
1556年 結城氏に大敗。土浦城へ敗走。この年に小田城を奪回。
1557年 佐竹氏に敗北。土浦城へ敗走。
1559年 家臣が小田城を奪回。
1564年 上杉氏・佐竹氏に攻められ敗走。土浦へ敗走。
1565年 小田城を奪回。
1566年 上杉氏に攻められ開城。
1569年 佐竹氏に攻められ敗走。小田城を奪われる。
1590年 小田城奪回を図るが大敗。以後、小田城奪還は果たせず。

 小田城、弱い!!!
というか、天庵さんが弱い!!!?

 天庵さんが「常陸の不死鳥」と呼ばれ、戦国好きのアイドルとなっている理由はここにあります! ちなみに、お城は家臣たちが取り返してくれたことも多く、とにかく弱い武将だったけど家臣や領民からは圧倒的な人気があったとか。

 
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長谷川 ヨシテル

はせがわ よしてる

歴史ナビゲーター、歴史作家。埼玉県熊谷市出身。熊谷高校、立教大学卒。漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。テレビ・ラジオへの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦! 小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)の第3話に一般エキストラとして14秒ほど出演。また、金田哲(はんにゃ)、山本博(ロバート)、房野史典(ブロードキャスト!!)、いけや賢二(犬の心)、桐畑トール(ほたるゲンジ)とともに、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成、歴史ライブやツアーを展開中。トレードマークは赤い兜(甲冑全体で20万円)。前立ては「長谷川」と彫られている(特注品で1万5千円)。著書に『ポンコツ武将列伝』(柏書房刊)『マンガで攻略! はじめての織田信長』(原作・重野なおき、金谷俊一郎との共著、白泉社刊)がある。雑誌『歴史人』の人気ウェブ連載をまとめた『あの方を斬ったの…それがしです ~日本史の実行犯~』が3月19日(月)配本!


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  • 長谷川 ヨシテル
  • 2018.03.20