みんな真剣に婚活している。婚活は営業活動に近いと思った。アプローチする件数が大切だ。【石神賢介】
アラカン(60歳前後)でも出会えた婚活アプリの世界
■申し込む相手を検索
婚活アプリで女性の登録画面を初めて見たときのことは忘れられない。もっとも登録数の多い大手婚活アプリの画面は圧巻だった。
こんなに会員がいるんだ! と感動した。次から次へと交際できるのではないか、と錯覚した。しかし、もちろんそんなことはない。最初は検索条件を入力していないので、20歳くらいから70代まで、女性会員全員、つまり数万人が掲載されている。
落ち着くように努めて、自分が求める女性の条件を打ち込んだ。
最初は条件の範囲を広く入力した。年齢は40歳以上。住まいは東京、神奈川、埼玉、千葉。筆者は東京在住で、そこからあまり遠い人とは頻繁には会えない。写真掲載あり。身長は170センチ以下。自分よりも高くない女性にした。体型は細身、やや細身、ふつう、筋肉質、グラマー。ぽっちゃり以外はOKにした。職種はこだわらず。学歴もこだわらず。飲酒の習慣もこだわらず。喫煙の習慣はちょっと迷ったけれど、こだわらず。出身地もこだわらず。年収もこだわらず。婚歴もこだわらず。子どもについては迷った。子どもの年齢や性格や親との関係性によると思った。でも、マッチングする可能性を高めるために、検索の段階では、子どもありも条件に加えた。
以上の条件で検索のアイコンをクリックした。それでも、1万人くらいの女性のプロフィールがずらり。すごい。写真をながめるだけでも楽しい。
しかし、よく見ると、女性は必ずしも自分の顔写真をアップしているわけではない。どこかの高級レストランの肉や魚介の写真や旅行先の海や山の写真、ペットの写真をアップしている登録者が多い。意図がわからない。犬や猫は筆者も好きだ。どちらも実際に一緒に暮らしていた。しかし、犬や猫と結婚したいわけではない。犬猫を自分の顔の替わりにアップしているのはなぜだろう。
後ろ姿や大きなマスクで顔を隠している女性もいる。身バレを恐れているのだろう。身バレが困る業種や職種はある。教師や芸能人は本人であることを特定されると、仕事によくない影響を及ぼすかもしれない。
どうかと思ったのは、自分は顔を見せず、それでいて相手には顔写真のアップを求めている人たちだ。
「顔写真のない人は怖いので、マッチングいたしかねます」
そんなふうに書いている。
自分の顔は見られたくない。相手の顔は見せてほしい。それは、フェアではない。
さあ、どの女性から申し込もうか。わくわくした。写真のある女性の全員がオイデオイデしているように感じた。
婚活アプリによっては、プロフィール画面を見れば会員の人気度がわかるようになっている。それまでに申し込まれている数が表示されている。1か月間に20人とか、30人とか、なかには「500人以上」と表示されている女性もいた。500人にアプローチされるのはいったい、どんな気分なのだろう。一日だけでいいので、体験してみたい。