「AV女優」というラベルに近づいてくる人とは? 「善意の皮を被った欲の怪物たち」に注意せよ【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第19回
■初対面で注意しなければいけない人とは?
そんな怪物たちにとって「AV女優」というラベルはカモの印のようなものである。一人一人がそうでないにせよ、長い時間をかけて刷り込まれてきたAV女優のイメージ、例えば周囲との繋がりが薄い、自己顕示欲が強い、お金への欲があるなど、そういった要素を持ち合わせている可能性があるというだけで、彼らからすれば美味しい獲物に見えてしまうのだ。彼らからしても有象無象の中から探し出すよりも、ある程度絞り込んだ中から捕まえる方が楽である。きっとそのあたりはAV女優じゃなくても、同様に「老人」「お金に困った学生」など標的にされやすいカテゴリは他にもあるだろう。
幸いにも、そういう人間たちとはうまく距離を置いていたし、実被害は何一つ被っていないが、きっと私の選択次第では今頃生き地獄のような生活を送っていただろう。想像するだけでぞっとしてしまう。辞めてからは必要がなければ、「元AV女優」と話すことは少なくなった。後ろ盾となる事務所もなく、一人で活動していくのにあまり悩みの種は増やしたくないからだ。
そういった経験が積み重なることによって、「これ以上は踏み込んじゃいけない」だとか「この人きな臭いな」という直感は働くようになった。特に初対面で、必要以上に距離を詰めてこようとする人や馴れ馴れしくしてくる人には用心するようになった。「そんな人を疑ってかかるなんて」と思う人もいるかもしれないが、何かあったときに傷つくのは自分自身だし、何か起こる前に気がつけないとそんな怪物たちに太刀打ちできない。