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地中海式和食は最強の健康食

地中海式食生活+和の発酵食品で和食がさらにパワーアップ

日本と欧米、それぞれの“理想の食”を組み合わせた究極の健康食。地中海式和食こそ、腸内環境を改善する食事なのだ!
欧米と和食のいいとこどり「地中海式和食」で腸が若返る

 

世界的にも健康長寿によいとされている和食。とはいえ、和食であればなんでもいいわけではない。もしかしたら、あなたが思い浮かべる食事は、「本来の和食」とは異なり、むしろ腸に負担をかける食事かもしれない。

「アメリカの医学者が優れた健康食と認めたのは、元禄時代以前の和食です。具体的には精製していない穀物を主食とし、野菜、発酵食品、小魚などを中心とした食事。飽食の時代と呼ばれる現代の日本では、和食とイメージされる食事の半分は腸に悪い食事と言っても過言ではありません」

と語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた松生クリニック院長の松生さん。

実際、戦後の食生活の急激な変化によって日本人の腸内環境はどんどん悪化し、大腸がんの増加という脅威にさらされている。では、腸内環境を整える食事とはどんなものなのだろうか。

「現代の日本人の食生活での大きな問題点は、食物繊維の不足と、悪い油を過剰に摂り、よい油をあまり摂っていないことです。これを解決するために試行錯誤した結果、行き着いたのが地中海式食生活でした」

脂肪がたっぷりで健康に悪いという欧米食のイメージをくつがえしたのが地中海式食生活。地中海地方の脂肪摂取量は決して少なくない。むしろ日本人よりも多く摂っている。それにも関わらず大腸がんの発症率が低いのは、摂っている脂肪の種類にあった。

「地中海式食生活でたくさん摂っているのは、がん予防に役立つ抗酸化物質を豊富に含むオリーブオイル。地中海地方で大腸がんの発症率が低いのはオリーブオイルそのものにがん予防効果があるからだと言われています。さらに、赤肉(牛肉や豚肉など)や乳製品を大量に摂っている人ほど大腸がんの発症率が高かった。動物性脂肪を控え、抗酸化作用の高いオリーブオイルを積極的に摂取することがポイントです」

そして地中海式食生活と和食との共通点、両者のいいところを組み合わせて松生さんが考案したのが、腸を若返らせる食事「地中海式和食」だ。

「オリーブオイルをたっぷり使い、牛肉や豚肉、ラム肉など赤身肉はできるだけ控え、タンパク質は鶏肉や卵、魚介類、大豆製品を中心にします。このほか、野菜や果物、穀類、いも類をしっかり摂るのは伝統的な和食と同じです。これにしょうゆ、みそ、だし、酒粕など和食の調味料、納豆や漬け物など和食の発酵食品を加えれば、腸内環境を改善する理想的な食事になります」

オリーブオイルを摂り、肉を控えることで大腸がんのリスクはかなり減らせると考えられる。さらに、和食の調味料や発酵食品には、腸内の善玉菌を増やす乳酸菌や酵素が豊富に含まれている。旨みたっぷりのだしは食材のおいしさをアップする強い味方となる。

日本人は、チーズやヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌をたくさん摂るよりも、こうした和食の食材を活用して植物性乳酸菌をうまく取り入れたほうが、味覚にも合っているので簡単だ。

 

◇地中海式和食のポイント
1 オーリーブオイルをふんだんに使用する「地中海式食生活」に、伝統的な和食のよさをプラスしたのが「地中海式和食」。
2 一汁三菜を1日1回以上摂る(甘味にはオリゴ糖を使用)。

◇摂るべき食材の目安
月に数回/肉、甘味
週に数回/卵、鶏肉
毎日/魚、植物性乳酸菌、ヨーグルト、豆乳、オリーブオイル
たっぷり/果物、豆類、野菜、米、玄米、パン、パスタ、穀類、いも類

監修:松生恒夫さん
松生クリニック院長。東京慈恵会医科大学卒。生活習慣による大腸疾患を専門とし、国内では珍しい便秘外来をいち早く開設、数多くの患者が通っている。著書に『腸に悪い14の習慣』(PHP新書)他多数がある。

 

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