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「どか食い」より「ちびちび食い」がやせる! 専門医が教える、効率的な「糖質制限」のコツ

【6日間集中更新! 特集「食べ方を変えれば、体が変わる。」】糖尿病専門医・牧田善氏が、巷に広がる「糖質制限」の誤解を解く!!

いま話題の「糖質制限」は、糖質摂取量をコントロールすることでやせることができる注目のダイエット法です。しかし、糖質制限のしすぎはかえって健康を害する危険性がある、と書籍『日本人の9割が誤解している糖質制限』(KKベストセラーズ)の著者であり、糖尿病専門医として37年のキャリアをもつ牧田善二氏は指摘します。健康長寿が期待できて、かつ太らない食べ方とはどんな方法か? 牧田氏に教えていただきました。 

◆「間食は太る」は間違い

 一般的には「1日3食、規則正しく食事をする」ことが、望ましい食習慣と考えられていますが、これは正しいのでしょうか。

ーー(牧田氏、以下同)『The New England Journal of Medicine』に掲載された「NIBBLING VERSUS GORGIMG」と題された論文の実験データでは、健常者が一日で同じ量の食事を3回に分けて食べたときと、1時間ごとにちびちび食べたときの、血糖値のインスリン量を比較しています。
 1時間ごとにちびちび食べた群では、最初の1時間は食べ物が入ってきたことに反応して血糖値が上がっていますが、それ以降はほとんど横ばい状態になっています。インスリン量もほぼ横ばいです。
 しかし、3回に分けて食べた群は、食べるたびに血糖値が上がり、それにともなってインスリンもたくさん出ています。(中略)食べる量が同じなら、何回にも分けて食べたほうがいいのはたしかです。とくに糖質に関しては、一気に食べないようにしたほうがよいでしょう。

 家庭でも学校でも「間食をしない」のが一番いいと言われてきましたが、必ずしもそうとは言えないようです。

ーーたとえば、あなたが昼食におにぎりを3個用意していたとしましょう。これまででしたら、12時から12時半までの30分で3個をたいらげていたかもしれません。それを、11時に1個、13時に1個、15時に1個食べるようにしてみるだけで、体重に変化が出てくるのではないかと思います。

◆糖質制限は大ざっぱでOK! ストレスなく取り組もう

ーー2008年の『The New England Journal of Medicine』(DIRECT研究)では、3つの減量法を比べています。その中で、糖質制限ダイエットの人は、最初の2か月は糖質摂取量を1日20グラムまでと厳しく抑え体重を落とし、その後120グラムにして落とした体重のまま維持する方法がとられています。やはり、維持には120グラムくらいが妥当なのでしょう。(※参考:糖質120グラムとは、白ご飯2杯強くらいの糖質量に相当。ご飯1杯を重さ150グラムと想定)

1日60グラムとはかなり厳しい数字。砂糖が多く含まれたジュースを1杯飲むだけで、1日の摂取量の大半を占めることになります。

 しかし、最初の2か月を20グラムに抑えるとは厳しすぎます。なにしろ、350ミリリットルのコカコーラには38.50グラムの砂糖が入っています。その半分を飲んだら一日量に達してしまいます。
 そこまで厳しくしなくとも、(1日)60グラムで充分に減量効果は出るはずだと私は考えます。炭水化物好きの男性の場合、60グラムでも大変でしょう。
 いずれにしても、あまり神経質にならないほうがいいのです。会社に勤めている人なら外食も多いはずなので、正確に計測するのは難しい。
 ストレスなく、上手に糖質制限を行っている人の多くは、あまり細かい数字を気にしません。実際にやってみて体重を量っているうちに、なんとなくコツがわかってきます。
「あ、やっぱり昨日のラーメンがまずかった」
「昨夜は、野菜と肉がほとんどだったからうまくいった」
 こんなふうに、「原因と結果」が自分の中で見えてくるようになります。
 もしあなたがやせたいと思い、やせるために糖質制限を利用するならば、まずは、「これまでよりも炭水化物を減らそう」とすることから始めましょう。

◆1日の糖質量は守ったほうがいい?

 糖質摂取量の目安がわかりましたが、やせるためには、毎日きちんと摂取量を守ったほうがよいのでしょうか。

ーー1日の糖質摂取量の目安は、1日単位で区切らなくても大丈夫です。
 減量のための60グラムにしろ、体重維持のための120グラムにしろ、どうやっても守れない日は出てきます。(中略)私自身、日頃から体重維持のために糖質には注意しています。しかし、寿司屋に行ったら好きなだけ食べたい。糖質120グラムに抑えるなんて無理です。
 そこで、寿司屋に行った次の日は、より糖質を少なくするように心がけています。このように、2~3日単位で大ざっぱに考えてもいいでしょう。あるいは、週間計画を立ててみるのもいいかもしれません。
 私の患者さんに、大の麺類好きの男性がいます。まだ若いですが重度の糖尿病なので、なるべく糖質制限をしたいところです。そこで、週に3回、月水金の昼食はそばやラーメンなどを食べていいと決めているのです。
 糖質制限に縛られつまらない日々を送るのではなく、彼のように、糖質制限を知的に楽しんでください。

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糖尿病専門医。AGE牧田クリニック院長。1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事したあと、米国ロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病合併症の原因であるAGEの研究を約5年間行う。北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を歴任し、2003年に東京・銀座に「AGE牧田クリニック」を開設。これまでにのべ20万人の患者を診ている。著書に「糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい」(講談社+α新書)、「人間ドックの9割は間違い」(幻冬舎新書)など多数がある。



 


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  • 2016.05.10