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田原総一朗 「自民党の憲法草案は、国民を縛りつけるような文言が多過ぎる」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q7.8月になると第二次世界大戦、終戦についての話題が出ると思いますが?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

 Q7.8月になると第二次世界大戦、終戦についての話題が出ると思いますが?

 

 僕が終戦を迎えたのは小学校5年生の時だった。雑音がひどく、難しい言葉で語られる玉音放送をラジオで聞いた。この時の気持ちや様子は、他でもたくさん話したり書いたりしているかけど、当時、僕は海軍に入って軍人になるのが夢だった。それがすっかり崩されたわけだ。そして1学期までは「この戦争は聖戦だ」「アジアの国々を米英蘭の侵略から解放し、独立させる」ためのものだと教えられていた。
 それが2学期になって学校が再開されると、教員の言うことが全く違う。「あの戦争は悪いことだった。侵略戦争だった」というわけです。価値観や物の見方が、180度変わってしまった。その時に「大人の言うことを信じちゃいけないんだ!」ということを強く思った。
 それと関連して、今一番大切にしなければいけないのは、「言論の自由」なんだ。
 僕の子供時代、戦争中は「大本営発表」で嘘っぱちばかり伝えられていたんだから。
 僕はジャーナリストという職業でもあるんだけれど今、自民党の憲法草案で一番気になるのは第21条ですよ。現行憲法は1項で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」となっている。ところが草案では、 「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」という項目が付け加えられている。
 これってよく分からない。公益って何です。定義が曖昧です。誰が決めるんだ。
 だから時の権力者が拡大解釈で適用すれば、いくらだって「ダメだ」と言うことができるんだ。だいたい自民党の憲法草案は、他の部分でも国民を縛りつけるような文言が多過ぎる。報道を統制して、戦前戦中の大本営発表みたいなものばかりにしてしまってはいけない。
 これはマスコミが頑張って反論して行かなきゃいけない。僕だってタブーを無視して、朝まで生テレビでバンバン言っているんだから。
放送局や新聞社だって、政府からクレームが来るとか恐れて自主規制しないで、この部分「言論の自由」を訴えていかなければいけないんだ。

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明日の第八回の質問は「選挙権が18歳に引き下げられて初めての国政選挙である参議院選挙についてどうお考えですか?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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