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田原総一朗 「日本は自民党一党体制。自民党は保守なんだけど、やっていることはリベラル」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q9.若者はもちろん、人々にもっと政治に目を向けさせるにはどうしたらいいでしょうか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q9.若者はもちろん、人々にもっと政治に目を向けさせるにはどうしたらいいでしょうか?

 

 日本という国は、アメリカやイギリスと政治の在り方の根底が違っている。それが良い面でもあり、問題でもあるんだ。まず、両国とも政治では「保守」と「リベラル」がはっきりと分かれている。アメリカでなら保守は共和党で、リベラルが民主党なんです。イギリスは保守が、そのまま保守党で、リベラルが労働党という具合にはっきりしている。
保守というのは自由競争で、政治は世の中のこと、つまりマーケットには介入しない。小さな政府なんだ。自由競争、小さな政府をやっていると、どんどん格差が大きくなって、勝ち組よりも負ける人の方が増えてくる。それで次に選挙をやると、リベラルが勝つんだよ。アメリカでは民主党、イギリスだと労働党が。
 すると、リベラルがどうするかというと、格差をつけないために規制を設けていく。そして敗者を救うために、社会保障と福祉をどんどんやる。大きな政府を作っていくんだ。するとさっきとは逆に財政が悪化する。すると、その次の選挙では保守が勝つ、と交互にやっていくんですよ。だからうまくいくんです。
 そんな仕組みを覚えておくと、政治を考えるきっかけになる。

 しかし、日本は自民党一党体制。自民党は保守なんだけど、やっていることはリベラル。市場に介入しているんだ。だから1000兆円もの国の借金を作った。保守的な小さな政府でやっていれば、絶対にあんな借金できるはずがない。
 本当は、日本も自民党に変わる政党が出てこなければいけない。旧民主党が、一瞬政権を取ったんだけど、彼らもリベラルでしょ。自民党の中にもリベラルな部分があったから、どうしていいか分からなくなってしまった。だから3年余りで政権を取り戻されてしまった。
 だから僕は、自民とがもっと保守的になるべきだと考えている。ただ、これは言論の自由をなくすような保守という意味ではない。市場に介入しない、小さな政府を実現し、自由競争を促す保守です。
 そこにリベラル的な強い政党ができると、バランスが取れて上手くいくと思っています。政党自体が特色を出して、一貫した主張をしていけば、国民ももっと関心が出てくるはずです。

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明日の第十回の質問は「日本でも政権交代があった方がいいのでしょうか?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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