杉田水脈を比例名簿で厚遇し「適材適所」としてきた自民党。支持者の頭はどうなっているのか【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第63回
屋山太郎にデタラメ記事を書かせてきたメディアの責任は重い。
■見識と倫理観なき屋山の大罪
「政治評論家」の屋山太郎が死んだらしい。ネット上の記事には《屋山氏は政治家の倫理観の欠落と先見性のなさ、政党の大衆迎合を危惧して発言を続けた》とあったが、倫理観の欠落と先見性のなさ、大衆迎合って屋山そのものではないか。改革バカの走り。時流にひたすら阿り、その時々の権力者に媚びる。小泉純一郎の構造改革を大絶賛し、民主党を大絶賛し、橋下維新を大絶賛し、安倍政権を大絶賛。『それでも日本を救うのは安倍政権しかない』というヨイショ本まで書いていた。「曲学阿世」とはこのこと。
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デマも流し放題。2019年2月6日、静岡新聞が屋山が書いた「ギクシャクし続ける日韓関係」なるコラムを掲載。「徴用工に賠償金を払えということになっているが、この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員」「実妹が北朝鮮に生存している」などとデマを連ねたが、そもそも福島に妹はいないし、生まれも育ちも国籍も日本。元徴用工訴訟にも関与していない。静岡新聞は「事実ではありませんでした」と訂正のうえ謝罪。しかし、ボケ老人に記事を書かせ、すぐにわかるデマを校閲で通す新聞社もすごい。
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ほんこんや三浦瑠麗みたいなカテゴリーはともかく、屋山太郎とか門田隆将とか大手メディアにいた人間が、デタラメな記事を書くのが謎。特に時事通信はすごい。屋山をはじめ、田崎史郎とか加藤清隆とかそんなのばかり排出している。排出というより排泄に近い。世の中にうんこを垂れ流している。
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橋下徹について屋山はこう述べる。
《本物の政治家が誕生したと私はみる》
《橋下徹氏は、二〇〇八年に大阪府知事として出発したときから着手、着眼点が正攻法だった》
《橋下氏は政治に真っ正面から切り込み、「バカ文科省」「クソ教育委員会」と若干、下品ではあるが的確な言葉で敵を討つ。例えば国の公共事業における地方分担金の問題に、「明細のない『ボッタクリバー』の勘定は払わない」との一言でケリを付けた。言葉を的確に繰り出して討論し、説得する突破力を独自に持っている政治家を、日本で見るのは初めてだ》
《橋下氏のはじけるような明るさ》
《大衆民主主義の時代にふさわしい政治家が登場したのだと思う》
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屋山の見識のなさはあの界隈の中でもずば抜けている。規制緩和と大声を上げ、官僚を悪玉にして大衆受けを狙う。芸はこれだけ。この30年以上にわたる「改革ブーム」と日本の凋落を考えたとき、屋山が犯した罪は重い。