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田原総一朗 「宗教を「理解」と「信じる」ということには、かなり違いがあるということに興味が湧いている」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q24.政治問題やAIだけでなく、他にどんな分野に興味を持っていますか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q24.政治問題やAIだけでなく、他にどんな分野に興味を持っていますか?

 
 
 

 確かにいろんなことに首突っ込んでますよ(笑)。今はね「宗教」というものにも強い関心を持っています。20数年前、オウム真理教事件の時も、さんざん朝まで生テレビで議論を繰り広げたけど、「“信じる”って何だろう」という点です。

 僕らはね、宗教を理解はしますけど、信じない。例えば創価学会などでは「現世」と「前世」、「来世」というものが語られる。信者たちは、この3つを信じているわけです。あなたは、来世や前世があることを信じますか。ほとんどの人が考えたこともないと思う。僕自身もそういったものがあるとは信じていない。

 SGI、創価学会インターナショナルは、ヨーロッパに学会の教えを拡めようとしている。ヨーロッパの人たちは、ほとんどがキリスト教でしょう。キリスト教には、来世、つまり生まれ変わりがある。だから拡がりやすい。何度も言うけど、僕なんか信じていないけどね。死んだらゴミになるとしか思っていないから(笑)。

 つまり「理解」と「信じる」ということには、かなり違いがあるということに興味が湧いているんです。チベット仏教をはじめとした、仏教系の宗教にも輪廻転生、生まれ変わりの考え方がある。ダライ・ラマも前任者が亡くなると、日時や場所などの条件にあったところで生まれた赤ん坊を後継者として指名するんだから。

 妻の未子はガンで亡くなったんだけど、闘病中にこんなことがありました。ある高名な真言宗の法主の御加持を受けたんです。すると一時的なことだったけど、体調が良くなって食欲が出た。同じ病室に直腸癌の患者さんが入院されていたんだけど、未子の話を聞いて同じ法主の御加持を受けたら、ガンがすっかり消えて元気を回復した。

 僕自身も、腸の不調を治したいと思って御加持を受けたんだけど、鈍感なせいか、あまり効果はなかった。医者に聞くと、そうした施術が精神的な支えとなり、免疫力を上げるということがあるかもしれないという。

 確かに僕もそう思う。でも、理屈では理解できても、信じるというところまではいけないんだ。テクノロジーが進歩すると無くなってしまうように思うけど、人は自分自身で幸せになれるかどうかによって、継続されていくものだと思っています。

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明日の第二十五回の質問は「日本で宗教が政治に影響を及ぼすことは考えられますか?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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