防戦一方の南方方面で<br />起死回生を図る一大航空戦<br /> |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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防戦一方の南方方面で
起死回生を図る一大航空戦

山本五十六と「い」号作戦 第2回

  作戦のための航空部隊は、陸上を基地とするものに加えて、第3艦隊と呼ばれる空母部隊の艦載機を集中させた。空母瑞鶴、瑞鳳、隼鷹、飛鷹の4隻から戦闘機(零戦)100機、艦上爆撃機(99式艦爆)50機、艦上攻撃機(97式艦攻)30機がまずラバウル基地に集められた。

 これらに基地航空部隊の戦力を加えると約400機近くになり、当時の日本海軍として可能な限り航空戦力を総動員したことは間違いない。

 さて強引に集められた日本軍航空機の数は、最大で400機前後となり、これは真珠湾攻撃とほぼ同じであった。したがって日本海軍の上層部が相当な戦果を期待したとしても、何ら不思議ではない。

 攻撃目標はガダルカナル島、ニューギニア島のアメリカ、オーストラリア軍で、具体的には基地、港湾、艦船、そして航空機であった。いずれの地も日本側への攻勢の拠点となっている。

 日本軍の発進基地はラバウル、ブイン、バラレで、とくに後者の二つはガダルカナルへはかなり近く、有効な攻撃が可能と考えられた。

 山本は幕僚とともにラバウルに進出、作戦の指揮をとるが、これには将兵の士気高揚の意味もあった。最前線に総司令官が出向くのは前代未聞であるが、このことは山本の決意を示すものだったと言える。

日本の主力戦闘機であった零戦(零式艦上戦闘機)

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三野正洋

みのまさひろ

作家、NPO法人「DEM博物館を創る会」理事。1942年千葉県生まれ。大手造船会社にて機関開発に従事の後、日本大学准教授(一昨年定年退職)。『日本軍の小失敗の研究』(正・続、光人社)、『「太平洋戦争」こう戦えば…―「If」の太平洋戦争史』(ワック)ほか著書多数。


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