ミステリーハンター竹内海南江が、コミュニケーションの基本と考える思考法
「世界ふしぎ発見!」ミステリーハンター竹内海南江は、なぜ挑戦し続けるのか
その番組で29年間もミステリーハンターを続けている竹内海南江さんは、22歳で番組デビューし、現在なんと51歳。訪れた国は100ヵ国以上になり、今でも1年の大半を海外で過ごしているそう。
その土地の歴史や文化をありのままに伝えるために、番組では誰もが「え!?」と思ってしまうような、いわゆるゲテモノというものを食したり、新事実を見つけるために極寒から極暑の地域までリポートしたりと、体当たりの旅に挑戦し続けています。
そんな彼女の信念、そしてエネルギーの源を綴った最新エッセイ「あっというまに」(KKベストセラーズ)が9月24日に発売しました。
前回に引き続き、番組では決して知ることのできない、彼女の胸の内を独占初公開!
――「世界ふしぎ発見!」という番組は、竹内さんにとってどのような思い出がありますか?
「世界ふしぎ発見!」は1986年開始で、30年になります。今でこそ、インターネットが普及し、なんでも検索できますが、当時はそんな便利なものはなく、本と専門家の知識だけが頼りでした。番組には情報収集を専門とするリサーチャーという人たちがいますが、その人たちのカバンは、いつも重い重い本でいっぱいでした。
私も、過去に3本ほど構成台本を書いたことがあります。パソコンなんてなかったので、すべて手書き。凄い仕事量でした。
その仕事の量には変わりはありませんが、インターネットのおかげで時間の短縮ができ、収集できる情報量は倍以上です。
なので、「よくまあ、なんにもないときに番組がつくれていたな」と。
――そうですよね。ネットが普及する前は想像を絶する大変さだと思います。今、そのような時代を顧みて、何か思うことはございますか。
母親の口ぐせでもありますが、「ないものは、ない」。
相手との約束時間の変更、情報の間違いの修正、緊急時の日本との連携……みんなで知恵を絞り、その場で対応するしかありませんでした。
情報の間違いは当たり前のようにあったので、クエスチョンが不成立になることなんてざらでした。
そんな数々の体験の中で学んだことは、相手への「尊敬」です。
情報がないあの時の、ディレクターとコーディネーターの奮闘ぶりに、相手の文化への尊敬と、それを視聴者のみなさんにリアルに知ってもらいたいという情熱を学びました。
――みなさんの情熱があってこその番組というのが、すごく伝わってきます。最近は竹内さんよりも下の世代の方もスタッフにいらっしゃると思いますが。
生まれた時すでに、インターネットが当たり前にあった世代なので、「信じられない!」と言われますね。でも、その世代が実際に現地に行くと、なぜか凄く戸惑っている気がします。自分が得ていた情報以外のことが山のようにあり、その処理に消耗し、体調を崩していることも。
――今、もうそれなしには生きられないという社会になっていますが、逆に下手な情報はないほうがいいということですね。
私は文明の利器なしでロケしていたので、変な認識がなかったと思いますし、今でもないです。
なので、今まで新鮮な気持ちで続けられてきたのだと思います。
――これまで竹内さんがどんな過酷な状況下でも続けてこられた思いの片鱗を感じられました。さらに、竹内さんの最新エッセイ「あっというまに」では、とても興味深い珍事件から若かりし頃の反抗などのエピソード、そして仕事にかける情熱も赤裸々に書かれているので、ぜひチェックしてみてください。