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無関係なことを考えてみよう【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第30回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第30回

 

【庭掃除と冬支度】

 

 庭園内で毎日掃除をしている。落葉掃除や枯枝集め、そしてそれらの焼却など。また、冬に向けて、除雪機のエンジンを整備したり、ストーブの薪を運んだりしている。けっこう忙しい。既に空気は冷たく、朝夕は手がかじかむほど。

 それでも、久しぶりに模型飛行機を飛ばしにいった。丘陵地の端の傾斜した場所で、グライダを飛ばしている人もいた。フライトは1回だけ(15分くらい)だったけれど、楽しかった。無事に着陸することで、すべてが報われる感覚があって、この報酬のために、ちょっとしたリスクを楽しんでいるのだな、という納得がいつもある。

 僕が担当している犬は、今6歳半だが、最近要求が強くなってきた。いつもと違うこと、順番が違うことに直面すると不機嫌で、おやつを食べない、散歩にもいかない、と拗ねる。それだけ賢いということか。人間も、不機嫌になるのは、だいたいこれと同じだな、と思われる。犬の振り見て我が振り直せかも。

 

リビングのベンチに座り、テーブルにどんと手を置いて、おやつを要求するハラスメント犬。体重は24kgになった。標準の3倍である。こんなに大きくなっても良いのだろうか。

 

文:森博嗣

 

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「無事」を重ねることが、人生の成功である。少し気をつけていれば、誰でもできる。ときどき予期せぬ不運が襲ってきても、また少しずつ無事を重ねて挽回していけば良い。勝たなくても良い。負けても良い。またの機会を待てることこそが、成功の価値なのである。(第35回「充実した人生に唯一必要なもの」より抜粋)

 

◉人生はプログラミング◉水を差しにくい社会◉話し上手と書き上手

◉老人になっても社会人である◉余計なものを持つことの価値

◉気持ちという質量◉「潔癖社会」純度上昇中◉ジェネラリストは存在しない?

◉どうなれば成功なのか?◉適度な自己中のすすめ◉アイデアを思いつける人

◉思いつきの手法◉新しい価値は無駄から生まれる◉頭は知識で肥満になる

◉楽しければそれで良いのか?◉効率か快適か、それが問題だ

◉自己利益が最重要な方針◉作るために必要なこと

◉一人でいることは、自由の象徴◉充実した人生に唯一必要なもの

◉AIが活躍する未来って?◉的確な質問をする能力

◉ネットのモラルはこれから◉フィクションを楽しむ条件

◉いつ死んでも良い生き方とは etc.

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森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

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