50歳から始めるアンチエイジング法「ホールフード」
更年期を迎える50代女性にとって、アンチエイジングは大きな課題となっている。そんな女性たちにおススメしたいのが「ホールフード」という考え方だ。
50歳ごろから顕在化する体の変化
いくつになっても若く美しく見られたい、アクティブに暮らしたい、多くの女性は「老化はさけられない」と分かっていても、あきらめきれない願望を抱えています。通常、50歳前後に訪れる閉経を境に、女性ホルモンの分泌量は激減し、更年期をむかえる中で、女性の身体は目に見えて変化していきます。肌や髪のツヤ、ハリが失われるだけではなく、イライラやうつ、高血圧症、動脈硬化、免疫力の低下といった不調を来すこともあるのです。
こうした不調への対策として広く取り入れられているのがサプリです。「更年期の不調を克服したい」「いくつになっても若く美しくありたい」と願う女性たちは“飲むだけで若返る”などという誇大な広告に躍らされて、サプリを利用してしまう傾向があります。リビングくらしHOW研究所の調査によると、サプリをはじめとする健康食品を利用している既婚女性は全体の50パーセント以上を占めており、特に50代になると3~4種のサプリを摂取する女性が22.3%にも上ります。(「健康食品・サプリ利用、健康意識アンケート」より)
しかし、サプリに頼ったアンチエイジングには、大きな落とし穴があることは、あまり知られていません。数種類のサプリを一度に摂取したり、サプリと薬を併用したりすると、副作用が出て、薬の効能が弱まる、といったリスクが生じるのです。
食材の栄養をまるごと頂く
自分に不足している栄養素が何かを正しく突き止めることは、通常の検査では不可能です。やはり健康のためには、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
一時期、厚生労働省が食生活指針として「1日30品目」を提唱したことがありましたが、これではカロリーや脂質等が摂取過剰になる可能性が高いとのことから2000年には削除されました。そこで、栄養素が豊富で、バランスの取れた食事のために有用と考えられるのが「ホールフード」です。
「ホールフード」とは読んで字のごとく「食材全体を丸ごと食べることが身体に良い」とする考え方で、明治時代の医師・石塚左玄によって提唱された食養論の一つ「一物全体食」に基づいています。
全体を食べることの重要性を示す代表的な食材が、私たちが日々食べている白米です。白米は精米されていない玄米と比べると、カロリーはほぼ同じですが、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維は数%~数十%ほどしか残りません。
また、老化の原因となる酸化ストレスを防ぐポリフェノールやカロテノイド等のフィトケミカルは、普段捨ててしまっている植物の葉や皮の部位に多く含まれています。野菜や果物を多く摂取していても、肝心の部位を捨ててしまっていることが多いのではないでしょうか。ただし、残留農薬の問題もあり、食材の選択には十分な注意が必要です。
いま「ホールフード」として注目されている食品には、「アサイー」、「マキベリー」、「クロレラ」「チアシード」等があります。
これらの食品に共通しているのは強力な抗酸化作用を持つフィトケミカルを豊富に含んでいることです。「アサイー」に含まれるアントシアニン量は赤ワインの30倍とも言われています。「マキベリー」はデルフィニジンという抗酸化物質を豊富に含み高い活性酸素除去能を有しています。
また、「クロレラ」は、赤血球の主要な抗酸化成分であるカロテノイド類の一種ルテインを豊富に含んでおり、50~68歳の健常者12名を対象としたランダム化臨床試験が行われ、クロレラ8g/日を2カ月間摂取した結果、赤血球中のルテイン濃度が増加し、赤血球膜の過酸化脂質レベルが低下したことが報告されています。認知症患者では、赤血球膜に過酸化脂質が蓄積した老化赤血球が増えるため、脳組織への酸素供給がスムーズに行われなくなり、それが認知機能低下の一因になっていると考えられており、クロレラは認知機能の低下抑制のために有用な食品となる可能性があるのです。
「ホールフード」につながる「一物全体食」の考え方は、健康のために全体を丸ごと食べることであり、その点において、単一成分を精製したビタミンやミネラル等いわゆるサプリとはまったく異なります。「ホールフード」を食生活に取り入れることによって、欧米化している「今の日本食」を「伝統的な日本食」へ近づけるのではないでしょうか。
手軽だからといってサプリに頼ってしまうのは、かえって栄養バランスを崩すことになり、アンチエイジングの面でも逆効果になります。アンチエイジングのために、栄養バランスの良い食事、望ましくは多様な栄養素を含み、フィトケミカルのような健康成分が豊富な「ホールフード」を取り入れることをお薦めします。