トクリュウ「強盗」標的リスト流出! 東工大・理科大卒など「理系エリート」が狙われる。某指定暴力団の古参幹部の衝撃証言 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

トクリュウ「強盗」標的リスト流出! 東工大・理科大卒など「理系エリート」が狙われる。某指定暴力団の古参幹部の衝撃証言

指定暴力団の古参幹部が語る

イメージ:PIXTA

 

■やはり強盗犯は「音」が出ることを嫌がる

 

――侵入しづらい家の特徴はあるのか?

 玄関の周辺に防犯砂利が敷き詰められていたりすると、特殊な音が周囲に鳴り響くから、躊躇するというか、やっぱり警戒するよ。あと、日本警察犬協会の会員シールが貼ってあるところ。あと、猛犬注意のシールとか、よく言われていることだけど、セコム、アルソックのマークがあるところ。抑止効果はあるよ。

 まあ強盗に遭いたくないなら、防犯カメラは設置したほうがいいとは思うね。ダミーでもいいので。最近のカメラは、性能が良くて、画質もきれいだから、犯人の特定にもつながりやすい。ほかには人が通ると明かりがつく、人感センサーライトがある家も侵入するのが難しい。逆に昔の家は勝手口があるだろう。勝手口があるということは、侵入ルートが、ひとつプラスされたということだから、当然、勝手口のある家は狙われやすい。あとは、ご近所さんとの付き合いが疎遠な家も狙われやすい。そのほか、周囲に空き家が多い地域だったり。

ーー下見はどんなふうに行うのか?

 さっき言った、周囲に空き家が多いとか、高齢の夫婦2人で住んでいるとか、大豪邸に未亡人がひとり住んでいるとか、毎週土曜日には息子夫婦が訪問するとか、車庫には四つ葉マークが貼ってある、少し古い年式のメルセデス・ベンツが置いてある――そういった情報は実行役に集めさせるね。

 オレたちの時代だったら、だいたい悪いことをしそうな奴は見た目ですぐに分かったんだ。そういう奴が下見をしていると「怪しいやつがうろついている」と警察に通報される。でも10月に横浜市青葉区の70代の男性を殺害して逮捕された20代の強盗殺人犯の男は黒髪にメガネで真面目そうだったじゃない。だから、下見のときは、逆に怪しまれずにすむんだ。

 実行役には、大学やバイトに行くときのような普段着でまず下見して情報集めてこいと言っているよ。ただ執拗に下見を行うのは、かえって不利になることもある。というのも、最近のコンビニとか街頭に設置されている防犯カメラは高性能だから、絶対に映っていて、警察はすぐに身元を割り出すことができるから。

ーー最近、頻発しているトクリュウ型の強盗事件は、犯行の手口が綿密ではないというか、稚拙にも見えますが…

 そうだな。凶悪なんだけど、どこか素人くさいよな。まあ裏を返せば、強盗グループも、資金や人員にも余裕がないってこと。だから指示役である首謀者は、闇バイトで実行役を集めて、トクリュウ型の強盗事件が頻発しているんだよ。昔はヤクザが強盗するときは「敵対するヤクザの家だけを狙う」という不文律があったものだ。ヤクザの家だったら、相手もサツに被害届を出さなかったしな。でも、いまの若い半グレたちは、善良な一般市民を狙うんだよな。昔気質のオレは、それは間違っていると思うよ。

 そういえば、某指定暴力団の30代の構成員が知り合いにいるんだけど、そいつは地頭が良くて、次から次へと新しいシノギを見つけてきて、ここ最近すごくはぶりがいい。それこそ、トクリュウ型の強盗もやっていて、SNSやネットを巧みに利用して、とにかく素人を集めることができるから、原宿とかのアパレルの限定グッズやスニーカーの行列に並ばせて、それを高値で転売したりもしている。箱根に豪邸を建てて、フェラーリやカウンタックを乗り回しているんだ。そいつについて、この間も60代の構成員が、苦虫を噛み潰した顔で愚痴っていたよ。都内の事務所に来るのは、上納金を収めるときだけで、ほとんど顔を出さないと。でも、ロートルのヤクザたちはみんなそいつから金を借りているから、何も言えないんだってよ。

 結局、いまの世の中、ヤクザも堅気も金を持っている奴が強いんだよな。昔は金に困っても、ヤクザ稼業が好きだから、貧乏でもヤクザを続けるって奴がたくさんいたけど、いまはそんなのは絶滅危惧種。ヤクザも堅気もみんな、金、金、金って、金の話ばかり。そんなんだから、闇バイト経由で、結果的に若い子が捨て駒にされる犯罪は、今後もよりいっそう増えると思うよ。

取材・文:大崎量平

KEYWORDS:

オススメ記事

大崎量平

おおさき りょうへい

記者・編集者

学習院大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、医療系出版社、編集プロダクション、フリーランスの編集記者、KKベストセラーズ「月刊CIRCUS」編集部、徳間書店「週刊アサヒ芸能」記者、家電業界誌、光文社「FLASH」記者を経て、2018年より講談社「週刊現代」記者として活動。芸能・スポーツからビジネス、社会評論に関する書籍の構成ライターも務める。

この著者の記事一覧