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賤ヶ岳合戦で使用! 甲冑研究家の秘蔵コレクション

名将甲冑大全 第13回

黒漆塗頭形兜 柴田家武将 賤ヶ岳合戦着用 伊澤家蔵

頭形兜(ずなりかぶと)には、古頭形(こずなり)・日根野形(ひねのなり)・越中形(えっちゅうなり)の3形式がある。この兜は日根野形で、日根野備中守弘就(ひねのびっちゅうのかみひろなり)が考案し、その子の織部正高吉(おりべのしょうたかよし)、孫の吉明(よしあき)の親子3代が製作した。人間の頭に似せたその形状から「日根野頭形(ひねのずなり)」と呼ぶ。

日根野備中守弘就は美濃国の豪族で、大桑城の城主であり、斎藤義龍(よしたつ)の執事であった。後に義龍とは不仲になり浅井長政に仕え、さらに信長、秀吉に仕えた。弘就の子の高吉も秀吉に仕え、孫の吉明は秀吉・家康に仕えて大名になっている。

本品は、鉄地黒漆塗下重五枚張の日根野頭形で、眉庇上(まびさしうえ)に祓立(はらえたて)を設けている。前立(まえだて)は月に叢雲がたなびく八日月で、和紙に柿渋をかけて金箔を押し、その上から漆をかけている。

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伊澤 昭二

いざわ しょうじ

いざわ しょうじ/歴史・甲冑研究家。明珍家24代明珍宗恭氏に師事。100種を超える鎧や兜、刀剣、絵画などを所蔵する。収集した貴重な品々は博物館やイベントなどで広く世間に紹介。著書に、甲冑ファンの間では有名な『図説・戦国甲冑集』などがある。小山・評定ふるさと大使。


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