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たっぷり寝ているのに疲れが取れない人の原因はメタボ? 睡眠の質を高めるには

『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』発売記念コラム2

■太るとさらに、眠りの質が下がる悪循環

 ここまでは睡眠が足りないと太りやすいという話でしたが、太ることで睡眠が妨げられることがあります。

「十分に寝たはずなのに眠った感じが全然しない」と訴える患者さんがメタボ体型なら、まず疑うのが睡眠時無呼吸症候群です。

 この病名、一般の人の間でもよく知られるようになりました。寝ている間に舌が喉の奥のほうに落ち込み、気道をふさいでしまって、何度も息が止まるという病気です。

「ガーガー」という大きないびきをしたと思ったら、呼吸が止まり、30秒くらいしたら「ハーハー」と激しく呼吸した後、再び「ガーガー」と大きないびきをかく──。

 このサイクルを寝ている間中、繰り返すのです。

 睡眠中にしばし息が止まっても、死ぬことはありません。しばらくすると脳が酸欠状態を感知して再び呼吸を始めます。

 ただ、そんな状態では当然、深い眠りに入ることはできません。ずっと首を絞められているようなもので、危険な酸素不足になるので、たとえ十分な睡眠時間をとっていたとしても寝た気がしないのです。

 夜寝ても日中いつも眠くなるという人、寝ている間に大きないびきをかいている人は、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。一度検査を受けることをおすすめします。

 睡眠時無呼吸症候群には軽症から重症まであり、無呼吸や低呼吸が1時間に
30回以上あると重症。「CPAP(シーパップ)」というマスク状の器具を装着して眠るとスッキリした目覚めを得られるようになります。ちなみに、これらは保険診療で行われます。

 睡眠が足りないと太り、太ると睡眠時無呼吸症候群に陥りやすくなって、睡眠の質が悪くなる。まさに悪循環です。

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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