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炭水化物抜き、糖質制限、ロカボ……何が正解?

『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』発売記念コラム6

■カロリー制限よりおかずを多く

「ご飯の量を減らしてくださいね」と伝えると、「カロリーは減らさなくていいんですか?」と聞かれることも。たしかに、これまでは糖尿病などの生活習慣病の治療ではカロリー制限食が主流でした。

 でも、「ご飯は少なく、おかずは多く」を守れば、カロリーはそう気にする必要はありません。むしろ、ご飯を少なくした分、野菜や肉、魚などを増やして、全体のカロリーは変えないことが基本です。

 そういう風に意識しているとすぐにわかると思うのですが、ご飯系や甘いものでカロリーを摂るのはとても簡単。その分を野菜やたんぱく質で補おうと思ってもそんなに量は食べられず、カロリー過多になる心配はあまりないと思います。

 先日タイの田舎町に行ったときにも、そのことを痛感しました。肉も魚も高級品なので、安い米でお腹を満たしているようで、一見病気とは無縁ののどかな田舎町でしたが、糖尿病の人がとても多かったのです。糖尿病が悪化した結果、足を切断された人もいました。

 また、もともと食べすぎている人は別として、カロリーを制限しすぎて粗食になるとかえって健康寿命を短くします。
 アメリカで行われた研究で、一日の摂取カロリーを1200~1800に制限して運動量も増やすという生活を10年間続けたところ、体重は平均6~7キログラム減ったものの、心臓病の発症率は変わらず、代わりに顕著に減ってしまったのが骨密度でした。つまり、多すぎても少なすぎても良くない。

 とくに粗食で骨密度が低下すれば、骨がもろくなって、骨折しやすくなります。高齢になれば、「転倒→骨折→寝たきり」と進んでいくことも。

 いま、高齢者の間では栄養不足に伴う筋力の衰えが問題になっています。これを「サルコペニア」と言い、放っておくと要介護や寝たきりにつながっていくのです。

 だから、粗食は良くない。特に高齢になってからの粗食は良くありません。

 ただ、肥満の糖尿病の人はご飯を食べすぎていることは多くの場合事実なので、ご飯は少し減らして、その代わりに肉も魚もどんどん食べてカロリーは減らさないようにする。食べないのではなく、食べるものの割合を変えることが大事です。

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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  • 2016.10.20