杉田水脈を比例で擁立した自民党は最後の一線を越えた【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第82回

■杉田が引き起こしてきた問題
2016年、国連女性差別撤廃委員会に民族衣装を着て出席したアイヌ民族や在日コリアンを無断で撮影。ブログでは「国連の会議室では小汚い格好に加え、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」「とにかく、同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなるくらい気持ち悪く、国連を出る頃には身体に変調をきたすほどでした」「ハッキリ言います。彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです」と述べていた。
この投稿について2023年、札幌法務局は「人権侵犯の事実があった」と認定し、「啓発」の措置を取った。大阪法務局も人権侵犯と認定。
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その後の展開がすごすぎる。
2024年5月2日、杉田はSNSに「そもそも『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していませんし》と投稿。意味不明。ブログの投稿はアーカイブに残っているし、国会でも杉田は事実だと認めている。犬は飼い主に似る。飼い主の安倍は3秒くらいでバレる嘘ばかりついていたが、杉田の場合、2秒くらいでバレる嘘をつく。
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2018年、月刊誌「新潮45」に同性カップルを念頭に「『生産性』がない」と寄稿、最終的に同誌を廃刊に追い込んだ。その後、第二次岸田改造内閣で総務政務官に就任すると、会見で「過去に多様性を否定したこともなく、ある性的マイノリティの方々を差別したこともない」と発言。恥知らず。
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2020年、党の会議で女性への暴力や性犯罪に関して「女性はいくらでもうそをつけますから」と虚偽の被害申告があるような発言をした。会議後杉田は「そんなことは言っていない」と発言を否定し、ブログでは性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」について無知と偏見に基づいた感想を述べ、「新規事業として民間委託を拡充することだけでは、女性の人権を守り、暴力問題の解決をのぞむ世論と乖離するのではないでしょうか、という趣旨の意見を申し上げました」と完全に開き直った。しかし参加者や関係者の証言もあり、逃げ切ることはできず、最終的にブログで「事実と違っていた」と嘘を認めた。
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2022年、ジャーナリストの伊藤詩織に対し人格攻撃を続けた件で、東京高裁は杉田に55万円の損害賠償の支払いを命じた。
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問題になればふてくされて表面上の謝罪はするが、反省することはない。現実と妄想の区別もついていない。杉田は保育所の待機児童問題に関して、産経新聞のサイトでデマを流した。「子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを二一世紀の日本で実践しようとしているわけです」「旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです」と2016年に述べていたが、2022年に国会で「事実として確認できず、不用意な発言だった」として撤回。事実として確認できないことを社会に垂れ流す人間のことを一般にデマゴーグと呼ぶ。
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政治資金収支報告書のキックバック分の不記載が発覚すると、杉田はブログに「不正や私的流用は全くありません」と投稿。意味不明。キックバックそのものが不正であり、違法である。「公金をチューチュー」とアイヌ事業関係者を誹謗中傷した杉田が公金をチューチューしていたというオチ。
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カルト勢力との繫がりも深い。2016年8月5日、SNSに「幸福の科学や統一教会の信者の方にご支援、ご協力いただくのは何の問題もない」と投稿。2019年4月28日には、統一教会の関連団体で講演した。
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なお、杉田が「新潮45」に寄稿した文章は、《「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません。私は日本をそうした社会にしたくありません》と締めくくられていた。言葉を失う。常識や普通であることを破壊してきたのはどこのどいつなのか。「日本国の恥晒し」は杉田である。
文:適菜収
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