国際結婚から投資、政治の右左…人間の選択は「遺伝子」で決まっていた説【中野信子】
『脳はどこまでコントロールできるか?』より #2
「新しい恋に惹かれやすい人」「リスクを恐れずチャレンジする人」——なぜ同じ人間でも、こんなに性格が違うのか。脳科学者・中野信子氏の著書『脳はどこまでコントロールできるか?』(ベスト新書)によると、それは「DRD」という遺伝子が握っているという。この遺伝子は国際結婚の可能性から投資行動まで左右するのだとか。以下、同書の内容を一部編集して配信する。
■新しもの好きの遺伝子
不安になりやすさだったり、ハマりやすさだったりと、女性と男性の傾向の違いは、脳の生理学的な違いに起因します。これは、遺伝や、お母さんの胎内にいた頃に浴びたホルモンの量によって脳の発達が影響を受けるために生じる傾向です。
さらに、性差以外にも、遺伝によって脳に生理学的な違いが生じることがあり、それが行動様式に反映されることがあります。
身の回りに、新しいガジェットが発売されると、とりあえず飛びついて買ってみる、なんていうタイプの人はいませんか? また、新作スイーツに目がなくて、いつもかならず、新しいお店ができたらちょっと行ってみるだとか、新作のケーキは食べてみる、なんていう人もしばしば見かけるのでは?
新しいものが好きだとか、新鮮な刺激を好むという性質、個人差が大きいですよね。このような性質のことを脳科学では「新奇性探索傾向が高い」という言い方をします。新奇性探索傾向の高い低いは、ドーパミン受容体のタイプ4(DRD4)の遺伝子に原因があると考えられています。
ちょっと専門的な話になりますが、このDRD4受容体というのは、タンパク質でできたひもがくしゃくしゃっと丸まったようなもので、神経細胞の細胞膜に埋め込まれたような形で存在しています。このひもはくしゃくしゃっと丸まったような形はしていますが、乱雑に丸まっているわけではなく、細胞膜を貫通して表と裏とに出る回数——ある配列の繰り返し回数——が決まっています。
この繰り返しの回数は、人によって違います。それは、鋳型となった遺伝子の塩基配列によって、生まれつき決まってしまうのですが、この繰り返し回数が多い人ほど好奇心が強く、より強い刺激を求めるということが、最近の研究でわかってきました。
要するに、新しいものに対する好奇心が旺盛で、より刺激を求めるタイプの人は、この繰り返し回数が多いというわけなのです。
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