南シナ海での中国の違法行為は
国際秩序のルールを壊したのか?
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中国は米国主導の国際秩序に対して宣戦布告
ハーグの国際仲裁裁判所がくだした「中国は違法行為」という判決はおおむね予想されていた結果だった。当然、中国側は判決が出る前から判決の無効を主張していた。だが、いざ「国際社会の常識」が中国の行為を違法と決めつけるとなると、習近平政権のメンツはいたく傷つけられたことだろう。
中国の王毅(おうき)外相はこの判決に対して次のように言い放った。
「この判決は受け入れられないし認めない。最初から終わりまで法律の衣を着た茶番であり、この判決には明らかに政治的背景と瑕疵(かし)がある。海洋法公約と国際法治を公然と破壊するものであり、この本質は徹底的に暴露されるべきである。
フィリピン前政権は一部外国勢力に操られて当事者の同意を経ずに、双方の二国間協議による解決の機会を放棄した。その目的は、中国・フィリピン間の争議の妥当な解決などではなく、中国の領土主権と海洋権益の侵害であり、南シナ海の平和と安定の破壊である。
仲裁案をもとに悪意ある煽動によって政治を操ることは、南シナ海問題をさらに緊張と対立の危険領域に巻き込むことになるだろう。これは地域の平和安定維持に完全に不利であり、中国・フィリピン両国、地域国家と国際社会全体の共同利益に合致しない。この茶番はもう終わった。正しい道に戻るときだ」
近年、ヒステリー気味の王毅にしてみれば、比較的抑えた言葉遣いだが、この談話ににじむのは、中国こそ国際秩序の建設者である、という主張であり、今回の判決は一部外国勢力(具体的には日米)の陰謀であり、国際社会の総意ではないという立場である。中国は国際社会の大儀は自分側にあるとして、米国側こそ国際社会の声に耳を貸せ、と言っているわけだ。
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