学級崩壊の教育現場で「教科担任制を小学校4年生から導入」!? 現場を直視しない文科省の愚策【西岡正樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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学級崩壊の教育現場で「教科担任制を小学校4年生から導入」!? 現場を直視しない文科省の愚策【西岡正樹】

学級崩壊の立て直し任されてきた名物教師が語る

イメージ写真:PIXTA

 

■学級崩壊はある日突然に起こるものではない

 

 小学校1年生の児童が、教室で大暴れをする時代である。子どもたちの目が血走り、暴言、暴力を繰り返す。それを教師たちはコントロールできず、ただただ、けが人が出ないように監視するばかりなのだ。私も長い年月教師をやってきたが、「担任は療養休暇に入り、常時3、4人の教師や支援員がそのクラスに関わり対応しなければならない状況」というのは、そう多くあるものではない(3年前に目の当たりにしたことがある)。

 教育現場でこのような状況が目立ち始めたのは、近年のことである。

 私が最初に低学年(12年生)の学級崩壊を目の当たりにしたのは、16年前だった。私は、その崩壊した学級を立て直すことに直接携わったのだが、関わった当初、その崩壊したクラスの状況にあきれ、どのような経過を辿ったらこのような状況になるのか、全く理解できなかった。しかし、それ以降、私は多くの学級崩壊に携わり、「学級崩壊はある日突然に起こるものではない」ということを、身を持って理解したのだ。

 今年度、茅ケ崎市内のある小学校1年生の教室で、3年前に他の小学校で見られた状況と同じようなことが起きている。「担任は療養休暇に入り、常時3、4人の教師や支援員がそのクラスに関わり対応しなければならない」という状況に陥っているのだ。このような教室の多くは、子どもたちが集団パニック(集団興奮状態)に陥っているので、子どもたちは自分で善し悪しの判断ができず、一言で表せば「やりたいほうだい」。

 掃除の時間だった。敏行(仮称)がいつものように箒を振り回し始めた。この日は、教頭先生が掃除の見守りとして、その教室に入っていた。その様子を見かねた教頭先生が、いつものように諭すような言葉がけをした。

 「箒を振り回すとどうなるだろうな」

 その声が聴こえているのかいないのか、敏行はいっこうに止めようとしない。教頭先生はさらに言葉を続けた。

 「箒を振り回すと誰かに当たってしまうだろう」

 敏行は、まるで、何事もないかのようにただ繰り返すばかりだ。その姿に、教頭先生も腹に据えかねたのだろう、大声をだした。

 「止めろと言っただろう」

 すると、反射的に、である。敏行は

 「うるせぇー!」

 叫ぶやいなや箒を教頭先生に投げつけたのだ。学級崩壊の只中にいる子どもは、このような姿をあちこちで見せる。当然、子ども自身は、自分がパニック(興奮状態)に陥っていることを認識していない。

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西岡正樹

にしおか まさき

小学校教師

1976年立教大学卒、1977年玉川大学通信教育過程修了。1977年より2001年3月まで24年間、茅ヶ崎市内の小学校に教諭として勤務。退職後、2001年から世界バイク旅を始める。現在まで、世界65カ国約16万km走破。また、2022年3月まで国内滞在時、臨時教員として茅ヶ崎市内公立小学校に勤務する。
「旅を終えるといつも感じることは、自分がいかに逞しくないか、ということ。そして、いかに日常が大切か、ということだ。旅は教師としての自分も成長させていることを、実践を通して感じている」。
著書に『世界は僕の教室』(ノベル倶楽部)がある。

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