トランプはなぜ勝利したのか?⑥
アメリカも一枚岩ではないことを知る!
倉山満によるアメリカ大統領『トランはなぜ台頭したのか アメリカの保守派と連携する』 トランプが大統領にまでなりあがったアメリカの現状!そして日本は…シリーズ⑥
親日派が親中にシフトした歴史!
その代表例が、佐藤栄作政権のときのニクソン大統領と、中曽根政権のときのレーガン大統領です。
佐藤栄作はアメリカと核武装交渉を裏でやっていたので、タカ派と思われていますが、核武装を言うだけ言って、通常戦力を減らしておきながら、結局、非核三原則でやらなくなったので、日本の防衛力を破壊しただけに終わりました。
当時の防衛費を見れば、がた減りしているのが一目瞭然です。
その結果ニクソンは、日本が全然ついてこなかったのでウィーク・ジャパン・ポリシーに転じ、日本の頭越しに訪中を発表しました。
中曽根康弘も精一杯タカ派のふりをしながら、日本を軍事強国にしないようにしていた確信犯です。
ソ連・中国のスパイとしてやったのか、政権延命のためにそれが一番都合が良いと思ってやったのか、現時点で言えるのは、どちらの説もありうるということです。
ちなみに、地政学者の奥山真司(おくやままさし)先生によれば、アメリカの学者は中曽根政権を反米親ソとみなしているそうです。
予算は国家の意思ですから、防衛に予算をつけないということは、やる気がないということを意味します。
中曽根が防衛費増額を行わなかったのを見て、レーガンは日本に対する強烈なジャパン・バッシングで報いました。
金だけ払って血を流さないことを、今は「吉田ドクトリン」と呼びます。
冷戦まではギリギリ何とかそれで間に合いましたが、海部内閣が湾岸戦争でも同じ態度だったとき、アメリカの親日派を絶望させました。
アメリカの世界戦略のポイントは太平洋、及び、アチソンラインの海洋権益であり、そこは守りたい、でも、費用は同盟国にもっと負担をさせたいということです。
そして、アメリカ太平洋軍や在日米軍は一緒に戦う同志を求めていて、ワシントンDCの国務省は費用負担増を要求しています。
トランプは「戦うか、金を出すか」という主張です。この違いも認識した上で、日本の取るべき選択を考えなくてはいけないでしょう。
我が日本国の現状は、在日米軍がいること以外は、全部中国に取られていることを認識しましょう。
よく「北方領土を取り返せ」とか「竹島を取り返せ」とか「尖閣守れ」と言うのに、なぜか本丸の二つの地名は出てきません。永田町と霞が関です。日本はアメリカの持ち物のはずなのに、中国が相当深く手を入れてきているのです。
中国のやりたい放題を野放しにしてしまうか、自分の国は自分で守る気概を取り戻すか、選択肢は限られています。
中華様の属国でイイという人はそもそもこの文章を読んでいないでしょうから、そういう人を無視して話を進めます。
日本の防衛力とは、米軍です。
そして日本がどれほど米軍に協力できるかです。
だから現時点では、米国との付き合い方が大事なのです。
※2016年7月に刊行された『大間違いのアメリカ大統領』より
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