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堀江貴文に聞いた、民主主義の限界って?

「国民国家」に代わる新しい仕組み

「政治家の選び方にも、民主主義の限界を感じる。」
堀江貴文氏は近著『99%の会社はいらない』(ベスト新書)の中でそのように語っている。オンラインサロン「HIU(堀江貴文イノベーション大学校)」に見える、民主主義の次のカタチとは?

「民主主義から推進力へ」という思想の転換

写真/柚木大介

 会社を経営していたころから、僕は”馴れ合い”のような空気というのが本当に大嫌いだった。社内でムラを作り、自分たちの派閥を作ったりすることに意味はない。
 だからHIUでも変なムラの掟のようなものを作らないようにしているし、新しく入ってくる人たちを拒否しない雰囲気を大切にしている。
 こういったことは、僕がいればコントロールできる。
 HIUには先輩後輩という関係もまったくなく、いつ入ってきても面白そうな奴だったらすぐ目立つ存在になれるし、長く在籍している人が偉いわけでもない。古くからいる人は、ただ単純に前から何かをやっているというだけのことだ。
 もちろん、変な思想をばらまく人や、派閥を作ったり喧嘩をふっかけたりするような迷惑な人はご遠慮願うが、それ以外にいわば入試のようなものもない。
 そして、これらを決めるのは、あくまで僕の中での基準だ。
 組織というのは、圧倒的存在感のある誰かが間違っているものに対して「それは違うでしょ」と言わないと、変な方向に進んでいくものだ。
 会社もそうだろう。上司の顔色を窺い、空気を読んで、間違っていることを間違っていると言えない環境があるとダメな方向に進んでいく。
 そういう意味で、先にも述べたとおりHIUは民主主義ではない。僕がいいと感じている社会を作り出していくための場所であり、論理的に正しいことを言った人が評価される場所だ。

 民主主義を用いると組織は大きくなっていくにつれ、おかしくなっていく。
 HIUの前身である「堀江貴文サロン」も初期のころは、「合宿の日程が都合に合わない」とか、「イベントが先着順の募集だとその日にチェックできない人は不公平だ」とかいろいろ言う人間がいた。そういうことを言う人間がいるのはしょうがないことだと思う。
 でも、HIUは僕のやり方でやらせてもらうことにしている。
 それこそ学校法人ではないのだから、何かに縛られるような外部要因もない。もちろんメンバーの意見を聞かないわけではないが、「その日は参加できない」とか「みんなの予定を考えて休日にイベントを開催して欲しい」とか、つまらない意見や質問は控えてもらう。誰もに平等なことをしていたら、何も進まないし新しいことも生まれてこない。
 実際に、僕が投下したネタをファーストペンギン、セカンドペンギンとして動いたメンバーがいて、それをきっかけに成果を出している事例もたくさんある。結果が出ていなかったら文句を言う人間もいるだろうが、カタチになっているものもたくさんあるのだから、このやり方は間違っていないと理解してもらえるだろう。
 そもそも、最近は民主主義に限界が来ているのではないかと感じている。
 政治家の選び方だってそうだ。税金の無駄遣いだなんだと揚げ足取りのような感情論で非難して、政治家としての能力以外の部分で選ぼうとする。そんなことをしたら、最終的には共産党系の政治家が選ばれることになってしまうだろう。
 たとえば、「ウチの党に投票したら現金100万円給付する」というマニフェストがあったら生活に困っている人は投票してしまう。不況になればなるほど、将来よりいまの生活を優先するようになる。言い換えれば、国がボロボロでも、庶民の感情を代弁する方が政治家としては得をする(当選する)ということを意味することになる。
 トータルで長期的に考えたときに、それはいかがなものか。
 もちろん、過度な無駄遣いや政治活動とはまったく関係ないところで税金を浪費することは問題だ。だが、国をよくするために政治活動をするのであれば、多少無駄遣いをしたとしても政治家として有能な人を選ぶべきではないのか。リーダーシップがあり本当に世の中を前進させてくれる推進力のある人を選んだ方が、結果としてはいいのではないか。

 嫉妬や感情論を解消するのは本質的に不可能だ。こういった嫉妬が渦巻く状況では多数決が必ずしもいいとは限らなくなってくる。そうなると、これはやはり民主主義の限界なのかと思えてきてしまうのだ。
 このままだと、日本は住みにくい国になってしまう。もう、「国民国家」に代わる新しい仕組みが必要な段階にきているのかもしれない。まずは、この風潮を変えていかない限りはどうにもならない。
 だからこそ、HIUは民主主義を用いていない。
 そして、この「民主主義から推進力へ」という考えを多くの人に持ってもらうためにも、HIUは必要とされる存在になるのではないかと思うのだ。

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  • 堀江 貴文
  • 2016.07.09