安倍晋三の恐るべき憲法理解。
「保守」を名乗る偽物が垣間見せる
「無教養さ」について。
作家・哲学者の適菜収が「安倍政権の無能と欺瞞」を討つ批判の毒矢。
一国の総理大臣の憲法理解によって国は混乱し、国が滅びるような事態になりかねない。
まずはそれを認識すべきなんでしょうけれど……。前途は依然暗い。
まずは安倍首相が以前発言した内容がこれだ。
※以下、適菜収著『安倍でもわかる政治思想入門』から本文一部抜粋引用
憲法について 二〇一四年二月三日 安倍晋三の国会答弁
「憲法が権力を縛るためのものだったのは
王権の時代。その考え方は古い。
今われわれが改正しようとしている憲法は、
国家権力を縛るためだけではなく、
私たちの理想や国のあり方、未来について
語るものにしていきたい。」
集団的自衛権の行使について安倍が説明する中、弩級のアホ発言が飛び出した。
「憲法が権力を縛るためのものだったのは王権の時代。その考え方は古い」って完全にルーピー(間抜け)でしょう。
これが小学生の意見なら微笑ましいし、中学生の意見なら「しょうもない」で終わる話だが、一国の総理がここまでバカだと危ない。
もちろん、いつの時代だろうが憲法は権力を縛るためのものである。
近代だったら民主権力を縛る。
権力は必ず暴走するからです。
で、自民党の改憲派は、現行憲法は「理想的すぎる」と批判してきたんじゃないの?
安倍が知るはずもないが、憲法学では「固有の意味の憲法」(広義の憲法)と「立憲的意味の憲法」(狭義の憲法)は区別されている。広義の憲法という視点においては、憲法は国家権力を縛る機能だけでなく、国家の秩序の根本規範、つまり国の形(国柄)を表現する規範と捉えられている。
当たり前の話だが、それは伝統による正統性を持った規範であり、「私たちの理想や国のありかた、未来について語るもの」ではない。安倍が妄想を膨らませて「理想の国家」を語ったものが憲法になるなら、それこそ王権時代への逆戻りである。
著者略歴
適菜 収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)など著書多数。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が全国書店、Amazonにて好評発売中。