ふんどし一丁で歩くだけで人の価値観を変えることができる――1枚の布に情熱を注ぐ男たち |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ふんどし一丁で歩くだけで人の価値観を変えることができる――1枚の布に情熱を注ぐ男たち

現在観測 第50回

・無言のコミュニケーションを楽しむ

 私にとってふんどし一丁で歩くのが楽しいというのは、「人々の反応を見たり、無言のコミュニケーションをとるのが楽しい」ということです。見る人たちが「何をしてるんだろう?」と疑問に思うのと同様に、ふんどしで歩く側も「この(見ている)人は今どう思っているのだろう」と想像を巡らせてみる、時に相手の意図しない言動や表情で驚かせたり笑わせてみる。そういった時に現れる反応はとても興味深いんですね。
 こうして私は、ふんどし姿で目立って歩きながら、行き交う人々との言葉を介さない(時には介しますが)コミュニケーションを楽しみました。
 それ以来、そんな他人との非日常的なコミュニケーションに魅力を感じ、定期的にふんどし一丁で出歩くようになりました。これを「ふんどし活動(略してふん活)」と呼んでいます。
 一人で「ふん活」を継続し、「ふんどしマン」と自身を名乗って、街頭でフリーハグをしたり、Facebookページなどで情報発信するようにもなりました。

・ふん活が与えてくれたこと

 私がふん活に熱意を注ぐようになった理由を一言でいうと、「人の価値観に影響を与える」ことができるからです。
 ふんどし一丁の男を真冬に見ると、多くの人はまず驚き、「あの格好で歩いて平気なの?」「捕まらないの?」などといった疑問を抱きます。そして、「でも祭りではみんな穿いてるわけだし別にいいのか」と自問自答したり、実際に私に聞いたり自分で調べることで、「ふんどし(下着)で街を歩くこと自体でいきなり逮捕されるわけではない」と学びます。
 ちなみに、私も2年間ずっとふんどし一丁ですが、逮捕歴はありません(職務質問は数え切れないほどあります(笑))。
 私がふんどしで歩くことで、決して少なくない数の人が「ふんどしで歩くことは(勝手にダメだと思っていたが考えてみたら)実は大丈夫」だと知り、ふん活をやってみた人は「ふんどしで歩くことは(できないと決めつけていたけど案外)できる」ということも体得します。
 つまり、「ふん活」はこの時点で少なからず人の考え方や価値観にインパクトを与えているとも言えるのではないでしょうか。これってすごいことだと思いませんか?
 普段の日常生活の中で、自分の価値観や、ましてや他人のそれまでをも揺るがしたり広げたりする機会はあまりないように思えます。
 些細な変化かもしれませんが、ふんどし一丁で歩くだけでそんな影響を意識的に与えられるのかもしれない、そう考えると、ふん活に対して興奮を抑えることができませんでした。
 また、「できないと思い込んでることがやってみたら案外できた」という経験は、人生においてとても貴重なことだと思います。
 自分の固定観念やリミットをどんどん取り除いて、視野と可能性を広げていく。こういったマインドセットは、どんな分野においても大切なことでしょう。一見無意味なことのように見えても、些細なことからでも学びや知見が得られるのだなと、私は身をもって実感することができました。
 また、ふんどしで歩くことで、「日本は平和だな」と安心な社会を実感できたり、周りの人々の日常にほんのちょっぴりでも刺激と笑顔をプラスできる、といった魅力も感じていたのです。

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株式会社ふんどし部

かぶしきがいしゃふんどしぶ

ふんどしが大好きな東大生二人が創業した、次世代型ふんどし企業。日本の伝統・文化を世界に広めるため、古くからあるふんどしを新しいアプローチで世の中にプロデュースする。日常生活すべてをふんどし一丁で過ごす「ふんどしマン」をブランドの軸に、ふんどしの製造・販売・企画・コンサルティングなどを行っている。ふんどしゴミ拾いやダンスイベントなどを定期的に行い、ふんどしを通して日本を楽しく盛り上げることを目指している。「株式会社ふんどし部」の詳細はこちらから。


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