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世界アマチャンピオン・阪田哲男氏が指摘する上達のためのルーチン。「ゴルフは前日から始まっている」

打つ前の「準備」でゴルフは変わる 【1/3】

ゴルフはショットを打つ前がとても大切です。
自宅、練習場、ラウンド前、そしてコース……。
世界アマチュアチャンピオン・阪田哲男氏が著書『打つ前の「準備」でゴルフは変わる』で記した、“完璧なフィニッシュ"をつくるための「ルーチンワーク」とは?
第1回目のテーマは、「ラウンド前日の過ごし方」です。

「夕べ、飲みすぎちゃってさぁ……」
 週末、むくんだ顔に腫れぼったい目で朝のあいさつを交わしているゴルファーを見かけることがあります。翌日は会社が休みだという気楽さも手伝い、2軒目、3軒目と酒がすすんだのでしょう。「明日はゴルフだけど、まぁ、いいか」と。そんなゴルファーを見る度、「この人は今日、ゴルフを楽しめないのだろうな」と思ってしまいます。中にはいい具合に肩の力が抜けて思わぬ好スコアを出すケースもあるでしょうが、体が動かず、集中力もなく、ずるずるとスコアを崩しまうことがほとんどです。
 やけになって昼食時に〝迎え酒〟をあおり、後半はさらに泥沼へと足を踏み入れるというパターン。せっかくの休日、決して安くはないプレー代や交通費を払ってゴルフをしに来ているのに何とももったいない話ではないでしょうか。
「仲間とワイワイやりながら楽しく回れればそれでいいんだ。スコアは二の次」という方もいるでしょう。しかし、そう言いながらもラウンド後は間違いなく思うようなプレーができなかったことを悔いているはずです。何だかんだと言いながらも、やはりいいスコアで回りたい。それが、ゴルファーというものです。
 私は、ゴルフとはラウンドをしている時間だけではないと考えています。朝、家を出た時にその日のゴルフは始まっていると思いますし、もっと掘り下げれば前の日からすでに始まっているのです。ゴルフの前日をいかに過ごすのか。それが翌日のプレー内容にかかわってくることを知ってもらいたいのです。
 私はお酒が好きです。若いころは深夜まで飲み続けることもありました。しかし、明日はゴルフだという時は絶対に遅くまで飲むことはしません。試合中は当たり前のことですが、たとえ遊びのゴルフであっても前の日に深酒はしません。付き合いがあっても早々に切り上げて、帰宅しています。
 これにはいくつかの理由があります。ゴルフに真剣に取り組みたいという気持ちの問題はもちろんのこと、体への悪影響をできる限り排除したいからという理由もあるのです。悪影響とは二日酔いで頭が痛いとか、体が重いということもありますが、大きいのは「グリップの感覚を失う危険性がある」ということなのです。
 深酒をすれば手がむくむことがあります。見た目はたいした変化がなくても、グリップを握った時の感覚がまるで違うのです。グリップの感覚がしっくりこなければ、いいゴルフをすることが難しくなってしまいます。
 前の日に酒を飲むなとは言いません。仕事上の付き合いもあるでしょうし、仲間と楽しく語り合いながら一杯やるのも構わないでしょう。それでも、酒量をいつもより減らすとか、二次会は我慢するというようなことに挑戦してみてはいかがでしょうか。
 そういうことをすればすぐに効果があるとは確約できません。しかし、続けていくうちにゴルフに向かうリズムや自分なりの形ができてくるものなのです。
 せっかくのゴルフを台無しにするのも、楽しく、納得のいくものにするのも自分次第。前日からゴルフに対する意識を徐々に高めていくことが、いいプレーにつながっていくのです。<続く>

 

<『打つ前の「準備」でゴルフは変わる』(阪田哲男/著)より抜粋>

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阪田 哲男

さかた てつお

1949年生まれ、大阪府出身。

 世界アマに11回出場。84年には個人メダリストに輝き、日本を初の世界一に導く原動力をなった。

 通算タイトルは100以上。日本を代表するアマチュアゴルファーである。

 著書に『「ゴルフ力」の鍛え方』(パーゴルフ)、『阪田哲男のゴルフ魂』(日本経済新聞出版社)などがある。


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  • 阪田 哲男
  • 2015.12.09